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2019年5月15日(水)

きょうの潮流

 肌は色が濃くシミがあり、瞳は茶色で、髪は細くて巻き毛。お酒にも強く、耳あかは湿ったタイプとも。そんなことまで分かるのかと驚いた方も多いでしょう▼およそ3800年前の縄文人のすべての遺伝情報を初めて解読できたと、国立科学博物館などの研究グループが発表しました。北海道・礼文島の遺跡から発掘された女性の臼歯からDNAを抽出。最先端の装置を使って高い精度で遺伝子を解析しました▼それによると脂っこいものを食べても代謝に有利な特徴もあると。これは北極圏に住む人たちの多くにみられ、狩猟を中心とした生活の様子が裏付けられたとしています。いまの日本人にはほとんどみられなくなった特徴だと▼縄文時代の人々は自然から集めることができるものは何でも食べていたそうです。儀礼や祭祀(さいし)の際に果実酒が飲まれていた可能性も高く、土器の発明は食生活に進化をもたらしました▼自然の恵みをよりどころにしてきた縄文人は環境に適応しつつ、独自の文化を築きました。近年、縄文ブームが続いていますが、それは一様ではないでしょう。『縄文時代の歴史』を著した考古学者の山田康弘さんは「日本列島の各地で展開した多様な文化の総称」だといいます▼それにしても、いまや日進月歩のDNAと遺伝子研究。飛躍的な進歩は、人間の成り立ちを知り、病気の治療にも役立つはずです。読み解かれていく「生命の設計図」。そこからみえてくるのは、一つ一つが個性豊かに色づく、いのちの奇跡です。


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