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2019年5月11日(土)

きょうの潮流

 いつも明るく、いたずらっぽい笑顔を見せていた娘。わずか2年10カ月という、短い人生の幕切れ。日ごとに包まれる胸が張り裂けるほどの深い悲しみ▼遺族のコメントには、わが子との突然の別れに向き合わなければならない無念がつづられています。県道の交差点で信号待ちしていた保育園児らに車が突っ込んだ大津市の事故。日常を脅かす凶器の危険性とともに、車社会の弊害を改めて浮かび上がらせました▼「責任、集中、予測、我慢、自信」。イギリスの運転免許当局が発行する本に示された良きドライバーに必要な条件です。重々しい言葉が並ぶのも車の運転を軽く考えてはいけないという戒めでしょう▼責任とは自分や同乗者だけでなく他者、とくに歩行者や自転車といった弱者の安全に配慮した運転をすること。集中と我慢は、スマホを見ながらの脇見や、あおり運転による事故が増大していることをみても。この五つの心を持ち合わせることが良い運転態度だといいます(『高齢ドライバーの安全心理学』)▼昨年の交通事故死者数は3532人。年々減っているとはいえ、先進国と比べても日本では歩行者をはじめ交通弱者の犠牲者の割合が高い。狭い道路に付けたしのように線が引かれている歩道もあちこちに▼車が優先される社会。スピードや利便性ばかりを追い求める国。車がないと生活が成り立たない現実も。日々、道を行き交う人びとの命と安全をどう守っていくか。人に優しい街づくりは国づくりにもかかわります。


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