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2019年4月16日(火)

沖縄・日本人女性刺殺

形骸化する「綱紀粛正」策の実態

 沖縄県で、また惨劇が繰り返されました。元米海兵隊員の軍属による、うるま市での20歳女性の強姦(ごうかん)・殺害事件(2016年4月)からわずか3年。今度は北谷町で日本人女性が交際相手の米海軍兵に刺殺され、加害者も自殺するという悲惨な事件です。しかも、一連の犯行は女性の子どもの目の前で行われたとされています。

 沖縄の本土復帰後、米軍関係者による民間人殺害はこれで14件目。今回の事件は男女関係などの複雑な背景もありますが、米軍基地あるがゆえの事件であることは疑いありません。在沖縄米軍トップのスミス四軍調整官も、沖縄県の玉城デニー知事に「私の責任」だと認めています。

 米兵犯罪の背景にあるのが、米軍の勤務外行動指針「リバティー制度」など“綱紀粛正”策の形骸化です。事件のたびに厳格化するものの、時間がたてば緩和するということを繰り返しており、機能不全に陥っています。

 同制度は12年10月、沖縄本島中部の住宅街で発生した米海軍兵2人による集団女性暴行事件が導入の発端になっています。在日米軍は、全軍人を対象に午後11時~午前5時の外出を禁止しました。

 しかし、14年の改定では、外出禁止は階級によるものの午前1時~5時に緩和。基地外の飲酒は全面禁止でしたが、現在は午前0時~5時に限っています。

 さらに、緊急時や業務など特殊な事情の場合、那覇市内などでの宿泊が認められていましたが、16年には酒に酔った米兵が同市内のホテルで女性を暴行。これを受け、那覇市内など牧港補給地区以南での宿泊を全面禁止にしました。しかし、今年2月には牧港補給地区以南での宿泊禁止規定が削除されました。

 警察によれば、事件当時、海軍兵は女性宅に宿泊しており、事件発生は午前5時~6時ころとみられています。「午前1時~5時の外出禁止」という規定に違反していた可能性が濃厚です。

 ほとぼりが冷めたら緩和するということが繰り返され、行動指針が形骸化している実態が垣間見えます。(竹下岳)


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