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2019年3月25日(月)

米軍 民間空港利用1605回

全国で過去5年

 2018年まで過去5年間に米軍機が全国の民間空港を利用した回数は1605回にのぼったことが国土交通省の資料で分かりました。日本共産党の仁比聡平参院議員が同省に提出を求めたものです。米軍が平時から全国の民間空港を活発に利用している実態が浮き彫りになりました。(丹田智之)


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(写真)福岡空港内の米軍専用区域を使用する米空軍C5大型輸送機=2016年6月24日、福岡市(笹田幸宏さん撮影)

 資料によると5年間に米軍機が着陸したのは、北海道から沖縄県まで89カ所ある民間空港のうち、40カ所です。

 着陸が目立ったのは、福岡=349回、奄美=216回、長崎=206回、名古屋(小牧)=143回、仙台=95回、熊本=82回、種子島=64回、南紀白浜=62回でした。18年9月に米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の大型輸送ヘリが緊急着陸した長崎空港では、過去6年間で最多となりました。

福岡拠点に日常化

 福岡空港は3年連続で全国最多です。国内の民間空港で唯一の米軍専用区域があります。福岡市の市街地に隣接し、滑走路が1本の空港では航空機の発着回数が全国トップです。国内・国際線の旅客機が最大で毎時35本の頻度で発着。加えて同空港に専用施設を置く航空自衛隊、海上保安庁の所属機、消防、警察、報道などのヘリコプターが離着陸し、混雑の解消が課題になっています。

不定期で離着陸も

表:米軍機の着陸回数が多い民間空港

 1945年の終戦から72年まで福岡空港は米軍板付基地として接収され、朝鮮戦争の出撃拠点となっていた歴史があります。墜落などの事故も続いてきました。福岡県や福岡市、超党派の議員や地域住民が加わる板付基地返還促進協議会は、空港内に残る約2・3ヘクタール(空港敷地の約0・7%)の米軍専用区域と滑走路などの日米共同使用区域の返還を求めています。

 米軍専用区域には倉庫や駐機場があり、米本土の空軍基地に所属する大型輸送機も飛来しています。九州防衛局は「九州地区における在日米軍の輸送拠点として物資・人員等の輸送のために使用している」と説明します。

 日本共産党の、たかせ菜穂子・福岡県議は18年12月11日の県議会一般質問で、日米共同使用区域の滑走路や駐機場も有事の際には軍事作戦に使う構想があると指摘。「軍事利用、軍事拠点化は断じて許されないとの立場から全面返還を改めて強く求めるべきだ」と小川洋知事に迫っています。

 日米安保条約に基づく日米地位協定第5条は、平時からの米軍の民間空港利用を認めています。

 南紀白浜空港(和歌山県)は、米軍の利用状況を「移動途中のヘリが給油等を目的に不定期で着陸している」と説明します。米軍の垂直離着陸機オスプレイの緊急着陸が相次いでいる奄美空港(鹿児島県)では、今年に入ってからも給油に立ち寄る米軍ヘリが確認されています。


軍事拠点化の恐れ

纐纈厚(こうけつ・あつし)・明治大学特任教授

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(写真)纐纈厚・明治大学特任教授

 米海兵隊岩国基地(山口県)の拡大・強化や九州の航空自衛隊築城基地、新田原基地の米軍拠点化など西日本を中心に在日米軍は量的・質的に強化されている。

 その中で輸送、燃料補給、整備・点検などの軍事的な用途で民間空港が使用されている状況がある。福岡や奄美、長崎の各空港は米軍にとって地理的にも戦略的にも使い勝手がよく好都合だとみなされている。米軍施設がない長崎空港や奄美空港も高い頻度で利用されている。米軍機の飛来が日常化することで、新たな軍事拠点化につながるおそれがある。

 事故率が高い米軍機が民間空港に飛来することで市街地への墜落の危険性も高まる。

 問題の根本には日米安保条約があり、第6条(=全土基地方式)に基づいて日本全国の民間空港・港湾を米軍が自由に使えるようになっている。日本の独立と主権の問題として考える必要がある。


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