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2019年3月13日(水)

きょうの潮流

 初めて欧米から離れた画期の大会になるはずでした。幻のオリンピックといわれた1940年の東京大会。招致の一つに関東大震災からの復興がありました▼戦後に実現した64年の東京五輪を象徴したのも敗戦からの復興。そして2020年の大会も東日本大震災からの「復興五輪」と位置づけられています。こうして見ると、東京は復興を絡めたオリンピックをくり返しているようです▼来年7月24日の開会式まで500日を切りました。さまざまなイベントが行われる一方で、被災地との温度差がひろがっています。震災8年のNHK被災者アンケートでも5人に3人が復興の後押しになるとは思わないと答えています▼五輪関連の建設ラッシュで、人手不足に加え工事費が高騰。復興どころか、逆に妨げになっているとの声も。いつもの口だけ寄り添う首相は「見事に復興した東北の姿を世界に発信しよう」と能天気。みずからが遅らせているのがわからないようです▼「現状は復興五輪にむけて進んでいるのか正直、見えません」。女子マラソンのメダリストで国際オリンピック委員会の委員でもある有森裕子さんが、きのうの本紙スポーツ欄で語っていました▼震災のことや共生・共存の社会、障害者への対応などについて、人びとが五輪前よりも考えられるようになる―。それが大会の最終的な成功ではないかと。今の日本社会や政治のありようが問われ続ける日々。誰もが開いてよかったと思える五輪にできるかどうかの分かれ目です。


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