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2019年2月26日(火)

主張

沖縄県民投票

民意は明白、新基地を断念せよ

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地建設計画をめぐり、名護市辺野古沿岸の埋め立ての賛否を問う県民投票が24日投開票されました。「反対」が7割強に及び、玉城デニー氏が昨年9月の県知事選で獲得した史上最多の票も大きく超えるという歴史的な結果です。県民の「埋め立て反対」の民意は動かしがたい確固たるものです。安倍晋三政権は辺野古新基地建設のための埋め立てを直ちに中止すべきです。

首相の口実は通用しない

 新基地建設について県民はこれまで知事選や国政選挙などで重ねて反対の意思を表明してきました。今回は新基地建設での埋め立ての是非という単独の論点で県民の民意が初めて問われ、「辺野古ノー」の結果が明確に示されました。

 しかも県内41市町村全てで「反対」が「賛成」を大差で上回りました。普天間基地を抱える宜野湾市でも、新基地建設先の名護市でも、昨年の市長選では自民党が推す候補が当選しましたが、今回は両市とも「反対」が圧倒的多数を占めました。新基地反対は文字通り、「オール沖縄」の意思です。

 首相が県民投票の結果を受けてもなお新基地建設に固執していることは許されません。「普天間基地が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならない」というのが口実ですが、この間、辺野古への固執こそ普天間固定化につながることが明らかになっています。

 防衛省沖縄防衛局は沖縄県が辺野古埋め立ての承認を撤回したことについて違法・不当な不服審査請求を行っています。これに対し県は今月20日、意見書を提出しました。それによると、沖縄防衛局が提出した調査報告書には辺野古東側の大浦湾に存在する軟弱地盤の改良工事に関し、次のような重大な内容が示されています。

 ▽地盤改良面積は大浦湾側の埋め立て区域の約6割に上る▽地盤改良のために打ち込む約7・7万本の砂杭(すなぐい)に必要な砂の量は東京ドーム約5・25個分に相当する▽地盤改良の深度は埋め立て部とそれを囲む護岸部とも海面下70メートルで、作業船の施工限界に達する▽粘性土の地盤は最深90メートルになるが、その対策の記載がない―などです。

 県の意見書は、地盤改良に必要な砂量は沖縄県内の砂利採取量の数年分に当たることや改良工事前に大浦湾側のサンゴ類7万4000群体の移植が必要になることなどを指摘し、「途方もない年数を要することになる」と強調しています。普天間基地返還を口実にした辺野古新基地建設への固執はまさに「事実上の普天間固定化にほかならない」(同意見書)のです。

普天間は無条件返還こそ

 菅義偉官房長官はデニー知事には辺野古新基地に代わる具体策がないと非難しています。しかし昨年急逝した「オール沖縄」の代表・翁長雄志前知事は、普天間基地は県民の土地の強制接収で造られたものであり、返してほしいなら辺野古という新たな土地を差し出せ、それが嫌なら代替案を示せというのは「日本の政治の堕落」だと強く批判してきました。菅長官の姿勢は「堕落」の極みです。

 普天間基地返還は「辺野古移設」という条件付きでは不可能です。県民投票で示された民意を受け止め、無条件撤去を求めて米国と交渉することこそ返還の早道です。


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