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2019年2月3日(日)

辺野古新基地 軟弱地盤に杭6万本

政府検討 環境悪化の恐れ

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、政府は軟弱地盤対策として辺野古の大浦湾側の護岸部分と埋め立て部分の海底に、約6万本の砂杭(すなぐい)を打ち込むことを検討していることが、2日までにわかりました。県の辺野古埋め立て承認撤回に対して沖縄防衛局が効力停止を求めて執行停止の申し立てと審査請求をした際に、国土交通相に提出した資料に記されていました。

 政府は、昨年まで護岸部分に2万本、埋め立て部分に2万本の杭を打つ想定でしたが、今年1月に護岸部分にさらに2万本を追加。費用が高騰するとともに、工期が大幅にのびるのは確実です。

 政府は県に設計変更申請を行う方針を示していますが、県は地盤改良を行った場合、工期は13年、総工費は2・5兆円かかると試算しています。

 杭打ち範囲は軟弱地盤が指摘されている部分をはるかに超え、埋め立て区域の大浦湾側のほぼ全域。杭を打つ深さは海面から最大70メートル(水深30メートルプラス地中40メートル)です。

 工法は2種類で、護岸部分では強く締め固めた砂杭を地中に造成する「サンドコンパクションパイル」工法、埋め立て部分には砂杭を打ち込んで水をぬく「サンドドレーン」工法を用います。

 関係者は「護岸部で行うサンドコンパクションパイル工法に使用する砂杭には、砂のほかにスラグを使う場合も想定している」と語りました。製鉄の副産物であるスラグが海水に溶けると海水の酸性度が変わり、サンゴなど環境への影響が指摘されています。


改めてアセス必要

写真

(写真)鎌尾彰司准教授

 日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授(土木工学)の話 6万本の砂杭に使用する大量の砂を県内では供給しきれないと思います。県外から供給すると外来種混入の問題が発生します。砂の代替にスラグを使えば、周辺海域の自然環境を変える恐れがあります。

 今回明らかになった軟弱地盤対策は、政府が当時の仲井真弘多県政から埋め立て承認を得た時にはなかったものです。改めて辺野古の自然環境に適するのか検討するため、環境影響評価(アセスメント)を実施しなければならないと思います。


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