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2019年1月5日(土)

簡易宿泊所火災 2人死亡

横浜 車いす男性が犠牲に

猛煙、救助阻む

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(写真)正面玄関に避難する利用者たちと現場検証を行う消防署員ら=4日、横浜市中区

 横浜市中区の簡易宿泊所「扇荘別館」で4日午前6時15分ごろ、火災があり、2人が死亡し、13人が重軽傷を負いました。神奈川県警伊勢佐木署や市消防局によると、建物は10階建てで、5階の4部屋や廊下など約80平方メートルを焼き、午前8時半ごろ鎮火しました。火元は5階の1室とみられ、出火当時は約140人の宿泊者がいたといいます。

生活保護利用者に市が紹介

 火災があった部屋の隣に住む清水栄さん(73)は「サイレンで気づき、ドアを開けたら煙がもくもくしていた。煙は隣の部屋からで助けようと思いドアを開けたら煙がすごくて無理だった。助けるどころじゃなかった」。亡くなった隣人については「40代後半とみられる男性で、車いすで生活していた。彼が部屋を出る時など、私がよく車いすを押していた」と話しました。

 現場はJR石川町駅の西側にある簡易宿泊所や居酒屋などが立ち並ぶ地域。同宿泊所に4、5年住む広木宏茂さん(75)によると、利用者の多くは生活保護利用者で、1日2250円の料金がかかります。1室3畳の広さにベッドとエアコン、冷蔵庫、テレビが設置されており、トイレや風呂、炊事場は共同です。

 広木さんの部屋は、火災があった5階にあります。「出火当時は警報機は鳴ったがスプリンクラーはない。各階に消火器が設置されており、年に数回、避難訓練はしている」。住人たちは60~80代の人が多く、車いすを使う人も多いと語ります。

 保護利用者でもある広木さんは、「みんな最低限の生活をなんとか送っており決して楽ではない。今日は生活保護費の支給日で唯一の楽しみの日だったが、こんなことが起きるとは。自分の部屋にいつ戻れるのか」と肩を落としました。

 横浜市中区役所の生活支援課によると、同宿泊所は、市が保護利用者に住まいとして紹介。多数の保護利用者が宿泊していたといいます。

 担当課長は、「扇荘別館はバリアフリー仕様なので、病院を退院したばかりで住まいのない人や介護が必要な人が利用しやすいため紹介していた」と話しました。

 部屋は1人1部屋が基本で、介護が必要な利用者にはヘルパーが訪問。家賃は保護利用者が事業者に払う場合と、区が事業者に納める場合があるといいます。(原千拓、仁田桃)


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