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2018年12月17日(月)

辺野古埋め立て承認撤回「取り消し」

審査請求書に致命的弱点

防衛局、活断層認めていた

琉球大学名誉教授 加藤祐三さん語る

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設のための埋め立て承認撤回「取り消し」を求めた防衛省沖縄防衛局による国土交通相への審査請求書は、県が撤回理由にあげた予定海域の活断層について、「最新の『活断層データベース』などに記載はない」とします。しかし、沖縄防衛局自身の調査報告書にある活断層の存在を認める記述についてはまったく触れていません。新基地予定海域に活断層の存在を推定する加藤祐三琉球大学名誉教授(岩石学)に問題点を聞きました。(山本眞直)


写真

(写真)新基地予定海域での活断層とされる「落ち込み」断面図を使って講演する加藤祐三琉大名誉教授=2017年11月、那覇市内

 防衛庁(当時)が2000年に提示した予定海域の「推定地層断面図」に活断層があり、「断層によると考えられる落ち込みが見られる」と説明しています。

 また、『名護・やんばるの地質』(名護博物館発行)の付属地質図に辺野古断層と楚久断層が活断層として示されています。

 この2断層を大浦湾に延長すると、断層が谷地形に連続し、「推定地層断面図」が示す「落ち込み」地点で合流することなどから活断層と推定されます。

 沖縄防衛局が活断層の存在を「審査請求書」で否定しながら、一言も触れなかったのは「落ち込み」です。この「落ち込み」について、「推定地層断面図」の元になっている1997年の報告書にも琉球石灰岩を切る活断層の存在が、「地層断面図」と本文の双方に明記されています。それをないものと扱う姿勢は「審査請求」の“致命的な弱点”です。

 沖縄防衛局が活断層の記載がないとする文献(『活断層データベース』『活断層詳細デジタルマップ』)は、長さ10キロ未満の活断層は編集の対象外とされ、航空写真で地形に変位が認められないものは排除されているだけで、それで活断層が存在しないとは言えない。

 国が辺野古沿岸域に活断層がないとして主張する同海域の海底地盤の安全問題についてですが、海底地盤の安全性を論じるには離れた陸域より海域の活断層の存在が直接的に重要です。

 新基地建設にとって軟弱地盤は当面の、活断層は中長期的な「大問題」です。辺野古新基地は造れないか、造れてもずっと先のことになります。政府の言う「辺野古基地が唯一の選択肢」は、“普天間基地はずっと先まで現状のまま”となります。普天間基地は移設ではなく撤去を。辺野古新基地は工事を中止すべきです。


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