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2018年12月5日(水)

主張

辺野古に土砂投入

どんな強権も県民に通用せぬ

 沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地建設のため、岩屋毅防衛相は名護市辺野古沿岸部への土砂投入を14日にも行うことを発表しました。沖縄県民が9月の知事選をはじめ幾度も新基地反対の意思を示してきたにもかかわらず工事を強行しようというのは、民主主義を無視した安倍晋三政権の強権姿勢むき出しの暴挙です。一方、沖縄県は新基地の運用開始までに最低13年かかることを指摘しています。新基地建設は「普天間基地の一日も早い返還」のためという安倍政権の口実は破綻しており、工事は直ちに中止すべきです。

破綻明瞭な新基地建設

 岩屋防衛相は3日の臨時記者会見で、辺野古沿岸部への土砂投入の開始予定日を14日にする通知書を沖縄県に出し、名護市の地元企業の桟橋から埋め立て用土砂を運搬船に積み込む作業を始めたことを明らかにしました。当初、土砂の搬出を計画していた本部港(本部町)の岸壁が台風のために一部損壊し、年内の使用が困難とされていた中での突然の発表でした。

 民間桟橋の使用は「奇策」とされ、政府内で厳しい箝口令(かんこうれい)が敷かれていたと言います。知事選で辺野古新基地反対を掲げて圧勝した玉城デニー氏が「話し合いによる解決」を求めて始まった沖縄県と政府との集中協議の期間中(11月28日まで)にひそかに検討されており、極めて悪辣(あくらつ)です。

 しかも、今回使用された民間桟橋は完成したばかりで、沖縄県の規則や条例で定められた工事完了や堆積場の届け出がされておらず、土砂の積み込み作業が「違法」(デニー知事)であることが明らかになっています。

 政府は沖縄県が8月末に決定した辺野古の埋め立て承認撤回の効力を停止して工事を再開するため、本来は国の機関が適用対象にはならない行政不服審査法を乱用するという違法行為も行っています。違法に次ぐ違法によって土砂投入を強行しようというのは法治主義の国では到底許されません。

 政府がなりふり構わず土砂投入を急ぐのは、辺野古埋め立ての賛否を問う来年2月24日の沖縄県民投票を前に既成事実を積み上げ、新基地建設反対の機運をそぐ狙いがあることは明白です。しかし、県民の諦めを誘うための卑劣なたくらみは決して通用しません。

 沖縄県は、政府との集中協議で▽新基地の運用開始までに埋め立て工事に5年、防衛省調査で判明した埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事に5年、埋め立て完了後の施設整備に3年と、最短でも13年を要する▽工事費用は当初の計画より大きく膨らみ、県の試算で完成までには最大で2兆5500億円もかかる見込みである▽2万本もの砂杭(すなぐい)を打ち込む軟弱地盤の改良工事は技術的に困難であるばかりでなく、絶滅危惧種262種類を含む多数の海域生物への影響が懸念される―ことなどを指摘しています。

県の指摘に一切答えず

 これに対し政府は、沖縄県の指摘に一切答えることなしに土砂投入の方針を発表したのです。

 新基地建設の行き詰まりは明瞭です。今こそ辺野古新基地建設の断念、普天間基地の無条件撤去を迫るたたかいを沖縄と全国が一つになってさらに発展させることが必要です。


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