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2018年11月17日(土)

主張

日米地位協定

「無罪放免」をいつまで続ける

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)所属のヘリコプターが昨年12月、隣接する小学校校庭に窓を落下させた事故について、日本の国内法である航空法では本来、刑罰に問える可能性があるのに、日米地位協定に基づく特例法で米軍は適用を除外されていることが国会の質疑で明らかになっています。米軍に異常な特権を与えている日米地位協定を抜本改定する必要性を改めて示しています。

「航空法違反」であっても

 航空機の安全航行などを目的にした航空法は、第73条の2(出発前の確認)で「機長は、…航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない」とし、89条(物件の投下)では原則として「何人も、航空機から物件を投下してはならない」と定めています。これらの規定に違反した場合、罰金を科すことも定めています。

 海兵隊ヘリの窓落下事故が同法に違反するのは明白であり、厳しく処罰されるべきです。

 ところが、海兵隊ヘリの窓落下事故を衆院安全保障委員会で取り上げた日本共産党の赤嶺政賢議員の質疑(13日)で、こうした航空法の規定が米軍機やその搭乗員などには適用されないという屈辱的な実態が判明しました。

 来月で発生から1年になる同事故について「刑罰法令に触れる行為を認めるに至っていない」と言う警察庁に対し、赤嶺氏が「無罪放免とはどういうことか」と追及すると、同庁は「航空法違反が考えられないわけではない」と認めざるを得ませんでした。

 ところが、同庁は続けて「航空法においては機長による出発前の確認や物件の投下に関する罰則が設けられているが、この規定は特例法により米軍航空機およびその運航に従事する者については適用されない」と答えたのです。

 警察庁が指摘したのは、「日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」です。航空法にある航空機の運航に関する規定などを米軍には適用しないという主権放棄の法律に他なりません。

 他国の米軍地位協定についての沖縄県の調査報告書(3月)によると、NATO(北大西洋条約機構)加盟のドイツやイタリアでは「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立させ、米軍の活動をコントロール」しています。日米地位協定の下で米軍に国内法が原則適用されない日本とは「大きな違い」です。

 安倍晋三政権は「(NATO)加盟国間の相互防衛の義務を負っている国と、それと異なる義務を負っている日本の間で地位協定が異なることは当然にあり得る」(河野太郎外相)と開き直っています。

世論背景に改定を実現

 しかし、沖縄県が調査報告書で指摘しているように、「ドイツ、イタリアともに、(過去の)米軍機の事故をきっかけとした国民世論の高まりを背景に、地位協定の改定や新たな協定の締結交渉に臨み、それを実現させている」のです。「相互防衛の義務を負っている」からではありません。

 全国知事会は7月、日米地位協定を抜本的に見直し、航空法など国内法を米軍に適用することを求める提言を採択しています。安倍政権に協定の抜本改定を迫る世論と運動を広げることが必要です。


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