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2018年11月13日(火)

主張

日米地位協定

主権侵害を当然だと言うのか

 沖縄県で今年1月に米海兵隊ヘリコプターの不時着が相次いだのを受け、機体の整備状況を検証するため防衛省が求めていた普天間基地(宜野湾市)への自衛官派遣が事実上取りやめとなり、同省のあまりに腰の引けた対応に批判が上がっています。安倍晋三政権は、在日米軍の法的地位などを定めた日米地位協定がドイツやイタリアとは異なり、基地への立ち入り権を明記していないことも当然視しています。主権国家の政府本来の姿とはかけ離れた屈辱的な態度に他なりません。

自衛官派遣実現できず

 普天間基地への自衛官派遣は、当時の小野寺五典防衛相が1月に不時着を繰り返した米海兵隊ヘリの安全検査について「(米側の説明を)そのまま受け取るわけにはいかない」(1月29日)とし、速やかな実施を表明していました。

 しかし、自衛官の派遣を米側が拒んだまま9カ月以上がたつ中、防衛省と在日米軍は今月8日、「飛行安全に関する専門家会合」を初めて開きました。会合はあらかじめ「(米側の機体整備の)検査を目的としたものではない」(同省発表)とされ、自衛官派遣については議論されず、事実上白紙に戻る形になりました。

 小野寺氏が自衛官派遣を明らかにしたのは、普天間基地に代わる新基地建設を最大の争点にした名護市長選(2月4日)の直前でした。結局、海兵隊ヘリの相次ぐ事故・トラブルに対する名護市民や沖縄県民の批判をそらすための選挙目当てのパフォーマンスだったと疑われても仕方ありません。

 同時に、普天間基地への自衛官派遣に関わって焦点になったのは、日米地位協定の問題です。

 日米地位協定は、米軍に基地の排他的管理権を与え、日本側の立ち入り権を明記していません。これに対し、NATO(北大西洋条約機構)加盟のドイツやイタリアでは、基地への立ち入り権が明記されています。日本はあまりにも立ち遅れています。

 ところが、河野太郎外相は、日本共産党の小池晃書記局長の追及に「NATOの加盟国の一員として加盟国間の相互防衛の義務を負っている国と、それと異なる義務を負っている日本の間で地位協定が異なるということは当然にあり得る」と答弁しました(7日、参院予算委員会)。

 安倍首相も、NATOと違い、「(日米安保条約では)米国の対日防衛義務に対応する義務としてわれわれ(日本)が基地提供義務を負っている」とし、「そうした背景も考えながら地位協定を比較しなければならない」と述べました(同)。

 しかし、日米安保条約によって日本が米軍に「基地提供義務」を負うことと、米軍が基地を自由使用し、日本側の立ち入りも認めないということとは全く別の問題です。問われているのは、日米地位協定による日本の主権の侵害を放置していいかどうかです。

抜本改定求める世論を

 日本が米国と主権国家同士の対等・平等な関係を結べず、対米従属の下に置かれていることを異常と思わない首相や外相に政治は任せられません。

 日米地位協定の改定は独立した主権国家として当たり前の要求です。政府に抜本改定を迫る世論と運動を大きく広げる時です。


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