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2018年9月15日(土)

沖縄県知事選 デニー候補 第一声 (要旨)

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(写真)出発式で訴える玉城デニー候補=13日、沖縄県伊江村

 13日、告示された沖縄県知事選(30日投票)に立候補した「オール沖縄」の玉城デニー候補の訴えのうち、伊江島、名護市辺野古のキャンプ・シュワブゲート前で行った訴え(要旨)を紹介します。

伊江島 「島ぐるみ」思いを込め

 私が伊江島を出発式の場にした理由は三つあります。一つは、私はかねてから、イデオロギーよりアイデンティティーという、翁長知事の言葉を大切にしています。アイデンティティーとは、自分がより立つところ、自分の心がとどまる場所です。私の母は伊江島の貧しい家で生活し、戦後は捕虜収容所を経て、若くして沖縄本島に渡り、社会人として働き、父と出会い、私を産み、育ててくれました。ここ伊江島は私のアイデンティティーが始まった場所です。

 もう一つは、これもウチナーンチュ(沖縄県民)のアイデンティティーです。(離島には)高校がないので、島を出て、勉強し、実社会に出て、結婚し、生活の場所を島外にもっていらっしゃる方が大勢いますが、伊江島郷友会などのつながりで、どこで暮らしていても、伊江島のアイデンティティーをずっと持ち続けています。私は沖縄本島だけではなく有人・無人の離島を含めて、この沖縄の素晴らしい自然を守ることがふるさとを守るアイデンティティーであることを願ってやみません。

 そしてもう一つ、戦後、戦争が終わったにもかかわらず、米軍は施政権下にあった沖縄に新たな基地を造ろうと、「銃剣とブルドーザー」で住民から土地を奪いました。「島ぐるみ闘争」は伊江島が発祥の地になっています。あのときは本当に人権を取り戻す、人としての権利を、日本国憲法がおよばないここ伊江島・沖縄で、しっかり発していた。そのことがいまの「島ぐるみ」という思いにこめられています。

 いま、子どもの貧困で多くの方が心を痛めていらっしゃいます。翁長知事が全国で初めて貧困実態調査を行い、全国では6人に1人なのに対し、沖縄では3人に1人が貧困の状態にあるといわれています。貧困の連鎖を断ち切るためにどうするか。私は「子育て世代包括支援センター」を全市町村に設置して、子どもが生まれる前から、生まれても何の心配もない社会をつくっていくことを政策に挙げています。

 おじいちゃん、おばあちゃんの年金の心配もあるでしょう。働くお父さん、お母さん。非正規雇用で二つも三つも仕事しないと生活が成り立たない。学生さんは学校に行きたいけどアルバイトで学校を休まないといけない。私は県民すべてを救うための条例をつくり、一人も取り残さない県政をつくっていきます。

 そのためには経済です。沖縄はもはや国の補助金頼みではありません。自らの力で海外へ打って出て、日本経済の2%、3%を占める経済成長をもたらすために、沖縄が日本経済のフロントランナーとして最前線に立ち、多くの外資を呼び込み、実のある観光立県・沖縄をしっかりつくっていきたい。そして、そこで得られた原資を優しい社会のための循環に回していくんです。

 優しくて、しなやかでたくましい沖縄をつくっていく。それが私、玉城デニーが目指していく、新時代沖縄の姿です。

 ウチナーンチュが誇りある沖縄を築き、イデオロギーよりもアイデンティティーを大事にしようという、翁長知事の遺志をしっかり受け継ぎ、辺野古に新しい基地を造らせない。その意思を明確にして、選挙戦を堂々とたたかっていこうではありませんか。

 私は、新しい県政で「万国津梁(しんりょう)会議」を立ち上げ、世界の国々と人材交流・文化交流、自治体外交を積極的に行います。すべての国の人々が理解すれば、米軍基地の問題は必ず解決できます。力ではなく、お互いの信頼で、諸外国と信頼で結び合うことで、日本がアジアの中で輝ける地位を確保する。それを沖縄県から示していこうではありませんか。

辺野古 新基地絶対造らせない

 イデオロギーよりもアイデンティティーで、みんな右も左も一緒に頑張ったらどうですかとおっしゃったのは翁長雄志知事です。ですから、こうして現場でがんばっていらっしゃる皆さんも、右も左もない、辺野古の新基地建設を絶対に断念させるという、一つの目的に向かっています。

 それはなぜか。沖縄の海を、陸を、二度と再び戦(いくさ)に使うための基地を造らせない。子どもたちにまた再びこの基地の負担、過重な負担を与えるわけにはいかないからではないですか。

 沖縄県はついに、公有水面埋立法にのっとって埋め立て承認を撤回しました。つまり法治国家にのっとった正しい行政判断を覆すようなことがあったら日本の司法は死んだも同じです。私は、県の撤回を断固支持していく方針です。

 翁長知事は本来ならご自身が撤回を言いたかったでしょう。後を託された副知事が、しっかりと承認撤回を行いましたが、行政の判断としてこの措置を執ったにすぎません。では行政の責任は誰が取るか。それは政治が責任を取らないといけない。新しい県知事がその責任をしっかりと受け継がないといけない。玉城デニーはそれを受け継ぎます。


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