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2018年8月18日(土)

きょうの潮流

 彼女が歌うと、男女の睦言(むつごと)や恋愛を描いた曲でも、人類愛を歌っているように聞こえる―。ソウル音楽の「クイーン」と呼ばれたアレサ・フランクリンさんです▼心の奥底をゆさぶる歌声、圧倒的な歌唱力。他人の曲でも彼女が歌えば独自の世界観に染めてしまうとまで。グラミー賞を18回も受け、女性として初めて「ロックの殿堂」入り。音楽誌ローリング・ストーンの「歴史上最も偉大なシンガー」にも選ばれました▼人びとは彼女の歌に時代を重ねてきました。60年代後半にヒットした「リスペクト」や「ナチュラル・ウーマン」には、公民権運動と女性解放の熱気が。自由が欲しいとくり返す「シンク」は、戦争に向かう若者たちの胸に響きます▼アメリカの歴史を象徴する歌い手の訃報がかけめぐるなか、米国社会の深刻な状況を表す出来事がありました。メディアを「国民の敵」と非難するトランプ大統領に対し、数百に及ぶ新聞が報道の自由を訴える社説を一斉に掲げました▼自身に批判的な記事を「フェイク(偽)ニュース」と決めつけおとしめる大統領の行為は言論の自由や記者活動、国民の知る権利を脅かしている。有力紙の呼びかけで実現した連帯行動には報道機関の危機感があります▼どこの国であっても、社会に差別と分断を持ち込む権力は、いずれ国民の反撃にあいます。「人間として、だれもが相手からリスペクトされる権利を持っている」。救いや痛み、そして至上の愛を歌に込めたアレサさんのあふれる思いです。


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