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2018年8月9日(木)

鼓動

ボクシング連盟 山根会長 説明放棄の辞任劇

会見5分 質問排除

 あまりにお粗末であっけにとられる辞任表明でした。

 公式戦の審判不正に助成金の不正流用、パワハラなど数々の疑惑や不公正な事態が指摘されてきた日本ボクシング連盟の山根明会長が8日、会長を退くと表明しました。

 しかし、その表明は中身がなく、わずか5分ほど。質問も受けない驚くべきものでした。疑惑にたいする説明責任がまったく果たされず、逃げるような形での辞任劇といえます。

 「日本ボクシングを再興する会」が突き付けた十数項目の疑惑はどれもがスポーツ団体の長としてあるまじきものです。

 奈良県の選手を優遇する「奈良判定」など、審判のジャッジをゆがめた点について、この日「再興する会」が新たな音声を公開しました。

 それは「接戦した場合、やっぱり奈良やな。それ反対につけた場合は、『お前なめてるんか?』てなってくるわけ」という会長自身の発言でした。一方、会長はこの間、疑惑を否定しつつも、説得力ある反証は何一つ示せませんでした。

 反社会的勢力との交友は自身が「元組長と4年前までつきあいがあった」と認めました。しかし、スポーツ団体のトップとしてあってはならないとの自覚はまったくありませんでした。

 辞任したからといって問題をうやむやにはできません。スポーツ団体として二度とこうした事態を招かないために、十分な事実の解明が求められます。第三者委員会、日本オリンピック委員会の調査が必要です。

 なぜこれらの不正行為が引き起こされたのか。なぜ山根会長の独裁的な運営がまかり通ったのか、その組織的な問題点も含めて明らかにする必要があります。

 「再興する会」は「47都道府県の総意のもと民主的に運営する必要がある。そのために公開性、透明性が欠かせない」(鶴木良夫代表)と指摘しています。連盟を正常な運営に戻すには、まだまだ時間がかかり、課題が多くあります。

 しかし、救いなのは「再興する会」を中心に改革を求める声がほうはいとして湧きあがっていることです。同会にはすでに400人以上ものボクシング関係者が賛同の声を寄せているといいます。

 本来の活動を求める人たちが立ち上がったことで会長の不正を白日の下にさらし、辞任にまで追い込み、事態を大きく動かしました。この民主的な運営を求めるエネルギーを結集し、連盟の組織再構築を進めることが真の改革の力となります。

 それは日々懸命に練習し、五輪や世界を目指す選手たちの努力に応える、唯一の道なのはいうまでもありません。

(和泉民郎)


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