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2018年7月27日(金)

LGBT「生産性ない」の杉田暴言

かばう自民に抗議殺到

「人生観の問題ではない」

 自民党の杉田水脈(みお)衆院議員が月刊誌にLGBT(性的少数者)のカップルは「子どもを作らない、つまり生産性がない」と攻撃し、行政支援への否定的見解を示す論考を寄稿した問題で、LGBTや支援者の団体から厳しい抗議の声が上がっています。批判は杉田氏を擁護する安倍政権や自民党にも向けられ、杉田氏の議員辞職を求める抗議行動が各地で予定されるなど、抗議は全国に広がっています。


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(写真)杉田水脈衆院議員の辞職を求め、自民大阪府連前でスタンディングアピールする人たち=26日、大阪市

 問題の寄稿記事は、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」(『新潮45』8月号)というもの。杉田氏が、子どもを産むか産まないかで人間の価値を差別していることは明白です。

 日本政府は2008年6月、性的指向と性自認に基づく差別を撤廃する措置を求める国連人権理事会勧告を受け入れています。そもそもLGBTを含むあらゆる人々を人種や性などによる差別から守ることは、「国連憲章と世界人権宣言によって私たちに課された責務」(潘基文(パンギムン)国連事務総長=当時=の人権理事会での演説、12年3月7日)だとされています。

 異常なのは、政府・自民党の対応です。国連憲章など世界の人権擁護の原則に逆らう杉田氏の暴言を前にしても、菅義偉官房長官は「国会議員の発言の一つひとつに、政府の立場でコメントすることは控えたい」(24日の記者会見)と不問に付し、自民党の二階俊博幹事長は「人それぞれ政治的立場はもとより、いろんな人生観もあり」「別に大きな驚きを持っているわけではない」(同)と擁護するなど、党として対処する姿勢さえ示そうとしません。

行き先は全体主義

ドイツ文学翻訳家 池田香代子さん

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(写真)池田香代子さん

 自民党の二階俊博幹事長が、杉田水脈議員の発言を「いろんな人生観もある」と擁護し、党として放置しているのは事態を深刻化させています。杉田氏は「生産性」で人間の価値を判断し、憲法が定める自己決定権、個人の尊厳を否定したのです。国会議員による基本的人権の侵害を、二階氏も自民党も容認しているわけです。

 問題は性的マイノリティーにとどまりません。政権与党が「生産性」によって国民を選別すれば、行きつく先は全体主義社会です。

 杉田氏の発想は人の能力に優劣をつける「優生思想」につらなります。ユダヤ人らを大量虐殺したナチス・ドイツは「優生思想」に基づいて、同性愛者らも殺しました。精神病患者や障害者、アルコール依存者、交通法違反者、遅刻・無断欠勤常習者も「国家のごくつぶし」とみなし、収容所に送ったのです。

 市民が抗議の声を上げるしかありません。いち早くLGBT関連団体はじめ杉田議員の辞職を求める声が日本社会で上がっていて、頼もしく思います。


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