2018年7月17日(火)
W杯 仏20年ぶりV
フェア精神 新時代へ
サッカーの第21回ワールドカップ(W杯)ロシア大会は15日、フランスがクロアチアを4―2で下し、20年ぶり2度目の優勝を決めました。
今大会はある前向きの変化がありました。
初導入されたVAR(ビデオ・アシスタントレフェリー)による影響です。審判の判定をビデオ映像によって補助するこのシステムが、選手のプレーを変えつつあります。
今大会の退場数は4にすぎません。64試合制となった1998年大会以降最少で初の一桁台でした。
判定が甘かったからではなく、VARによって、選手に“抑止力”が働いたからです。
CKやFKのゴール前の守備で相手を引っ張ったり、抱えたりという反則がしっかり見極められ、今後変化は加速するはずです。
得点に関わる判定がしっかり下されることで元ブラジル代表監督のパレイラ氏のように、「(VARが)サッカーに公正さをもたらしている」と評価する声も少なくありません。
抑止力がなくてもフェアにプレーすることは選手本来の姿です。またこのシステムの改善も必要でしょう。しかし、より精緻な目がフェアな姿勢を求めていることは確かです。
サッカー界ではマリーシアなどとして、ずる賢さや審判から見えないファウルを当然視する見方があります。これも時代遅れであることを物語っています。
フェアな姿勢と確かな技術を求める新たな時代へ―。今大会の示した大きなメッセージと思えてなりません。(和泉民郎)