しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月16日(土)

きょうの潮流

 改ざん、隠ぺい、廃棄―。安倍政権のもとで相次ぐ公文書のねつ造とダブりました。国土地理院などが主催して先日都内で開かれた「くらしと測量・地図展」です▼今年のテーマは「明治150年からみえる、測量と地図のあゆみ」。なかでも異彩を放っていたのが「戦時改描図」です。当時の政府や軍部による地図の改ざんで、国防や侵略を目的にした意図的なものでした▼たとえば、「地図から消された島 大久野島」。広島にある瀬戸内海上の島は戦前、島と周辺が大きく白く消されていました。島全体が毒ガス兵器を製造した陸軍の秘密工場だったからです。いまはウサギの島として知られていますが、巨大な毒ガス貯蔵タンク跡がまだ残っています▼東京を経度0とした1943年の「大南方資源地図」。東南アジアやインド、オーストラリアの周辺まで鉱山や農水産資源のある場所が詳細に記されていますが、地図の基準は東京でした▼日本は明治期に世界共通のグリニッジ基準の子午線を採用したはず。しかし旧文部省などが監修したこの地図は、日本が世界の中心です。軍が南方資源の獲得をねらって侵略を進めていた状況が色濃く反映しています▼戦前の「満州事変」は、日本軍の謀略を示す数々の外交文書の隠ぺいで始まりました。終戦時には戦争指導部が大量の公文書を焼却し、戦争犯罪の隠滅をはかりました。政府が正確な記録を管理し、残すことは民主主義の原点です。歴史の愚を、これ以上くり返すわけにはいきません。


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