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日本共産党

2018年6月15日(金)

きょうの潮流

 55年前のきょう、坂本九が歌った「上を向いて歩こう」(作詞永六輔、作曲中村八大)が全米ヒットチャートの1位に輝きました。曲名こそ「SUKIYAKI」と変えましたが、日本語の歌をそのまま発売しての快挙でした▼アジアの歌で全米1位を記録した唯一の歌です。2013年1月には、英BBCの雑誌が「世界を変えたあなたの歌20曲」で、ジョン・レノンの「イマジン」などと並んで取り上げました▼発売当時、加藤周一も感心し、「歌詞には歌謡曲的『伝統』の涙が利いている。他方、節回しと歌い方は『外来』のジャズ風である」と書きました。現代日本文化は東西の「雑種文化」であり、雑種ならではの希望があると主張した加藤。「上を向いて歩こう」の世界的ヒットはそれを証明したともいえます▼ちなみに加藤周一の「雑種文化」論は民主主義論と一体でした。日本国憲法を押し付け憲法だと批判する自民党政府に対し、外来文化を一律排除することの愚を文化論の形で説いたのです▼永六輔はこの詞を書く前年、60年安保闘争のデモに連日参加。デモを優先してテレビの台本をすっぽかし、担当をおろされるほどでした。新安保条約が成立した悔しさを歌詞に込めたといわれます▼モリカケ疑惑に頬かむりし、改憲に執念を燃やす安倍晋三首相は、安保闘争で退陣に追い込まれた岸信介の孫です。伝統と西洋文化を融合させ、希望を歌った「上を向いて歩こう」は安倍政権とのたたかいを励ます応援歌とでもいうべきか。


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