しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月10日(日)

きょうの潮流

 胃の中から出てきたのは80枚余りのプラスチック袋でした。衰弱した状態でタイ南部の海岸に打ち上げられ、息絶えた小型のクジラ。解剖すると重さ8キロのプラごみが見つかりました▼毎年800万トンものプラごみが世界中の海に流れ込んでいる問題は、深刻さを増しています。海を汚すだけでなく、影響は生態系にも及びます。餌と間違え細かくなったプラスチックを魚や鳥が食べて、それが私たちの体内にも▼今月5日の世界環境デーのテーマは「プラスチック汚染をなくそう」。使い捨てプラの生産や使用を減らすことをめざすと。国連のグテレス事務総長も、国際社会にたいしてプラごみ対策にとりくむよう呼びかけています▼EUでは、ストローや皿などのプラ製品の使用を規制する方針を発表。加盟国にペットボトルの回収率向上を義務付け、製造者側にごみ回収のコスト負担を求めるといいます。レジ袋の禁止や削減を法制化する国や地域も現れました▼しかし、プラごみの投棄量が際立つアジアやアフリカの対策は立ち遅れています。海に囲まれ、プラごみの排出も多い日本も企業任せで行政の動きは鈍い。EUの担当者は「いま生産と利用の方法を改めなければ、私たちの海は魚よりプラスチックが多くなる」と警告します▼人間社会の発展とともに大量生産されてきたプラスチック。もはやそれなしの生活は考えられません。それが海や大地を汚しているいま、ルールをつくって制限することは恩恵を受けてきた人類の責務です。


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