2018年5月31日(木)
成年年齢18歳 民法改定案が可決
藤野議員の反対討論(要旨)
衆院本会議
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成年年齢を18歳に引き下げる民法改定案が29日の衆院本会議で自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決されました。日本共産党と立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党は反対しました。採決に先立ち、日本共産党の藤野保史議員が行った反対討論(要旨)は次の通りです。
本法案は、成年年齢を20歳から18歳に引き下げるものです。未成年者であっても、人として成年と同様の基本的人権を有しており、その自己決定権は十分に尊重されるべきです。本法案が成年年齢を18歳に引き下げることは、18歳、19歳の若者の自己決定権を拡大するという積極的な意義を持つものです。
国際的にも多くの国が18歳を成年としており、成年年齢の引き下げは、こうした国際社会のすう勢にも合致するものです。また、女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げることは、両性の平等の観点から当然です。
しかしながら、現時点においては、成年年齢引き下げに伴う問題が存在しており、それに対する対策は十分とはいえません。
とりわけ、18歳、19歳の若者が未成年者取消権の保護を外される点は問題です。未成年者取消権は、未成年であることを証明するだけで、「だまされた」「脅された」と立証するまでもなく契約を取り消すことができるものであり、消費者被害を抑止する防波堤とも言われています。日弁連や消費者団体からは、18歳、19歳の若者が未成年者取消権の保護から外されれば、若者の消費者被害が増加するとの強い懸念が示されています。
安倍総理は今国会の施政方針演説で、「成人年齢を18歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎます」と述べました。しかし、参院で審議中の消費者契約法が定める取消権は、いくつかの類型に限定されており、しかも「過大な不安」など厳しい要件の立証が必要になります。総理がいう若者を狙った悪質商法の防止にはいまだ不十分です。
2009年の法制審の「最終報告書」では、(1)若者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれを解決する施策が実現されること(2)これらの施策の効果が十分に発揮されること(3)施策の効果が国民の意識として現れることを条件としています。
法務委員会で行われた2回の参考人質疑では、10人の参考人のほとんどが、この三つのハードルについて「道半ば」あるいは「クリアできていない」と述べています。現時点で成年年齢を18歳とすることは、積極的な意義がありながらも、想定される問題の解決に至っていないと言わざるをえません。
成年年齢をどうするかは、若者のみならず日本社会のありように関わる大問題で、国民的な議論が必要です。