しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月17日(木)

きょうの潮流

 「権力の暴走」。安保法制=戦争法が強行採決されたとき、テレビのニュース番組でフリップに大書したのが亡くなった岸井成(しげ)格(ただ)さんでした▼圧倒的多数の学者が「憲法違反」と断じ、反対や審議不十分の意見が世論を占め、多くの市民がデモや集会に集う。メディアとして批判の論陣を張るのは当然で、それをやらなかったら、逆に権力を監視し、暴走にブレーキをかけるジャーナリズムの使命を放棄したことになると▼報道の自由に軸足を置いたジャーナリストでした。メディアに対する政権与党からの圧力や要求には先頭に立って抗議。とくに安倍政権になってからは「このままではメディアは窒息する」と対決姿勢を鮮明にしていました▼かつては、こんなことも。佐藤栄作首相の退陣会見。新聞は嫌いだと記者の排除を言い出した首相に、「じゃあ出よう」と真っ先に他社の記者に呼びかけました。これが「ひとり延々とテレビで語った首相」の逸話につながったと毎日新聞の後輩が評伝でふれています▼半世紀近く政治を間近に。その体験を通して今日の政治の劣化を嘆き、「安倍一強」の独裁体制を告発しました。それを生んだ小選挙区制についても、推進した自身の反省を込めて見直すべきだと▼報道は変化に敏感であると同時に、世の中や人間の良識、常識を信じて、それを基本にする。何よりも真実を伝え、権力を監視する姿勢を貫くこと―。最後までアベ政治とたたかった信念。それはメディアに向けた切なるメッセージです。


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