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2018年5月2日(水)

野尻湖ナウマンゾウ博物館 改装

地域の協働・学びの場

長野・信濃町

写真

(写真)第22次野尻湖発掘調査で作業する参加者ら=3月29日、長野県信濃町

 ナウマンゾウの化石で有名な長野県信濃町の野尻湖。湖底から約4万年前のナウマンゾウなどの化石が見つかっており、ヒトが狩りをして解体した場所(キルサイト)だったかもしれないと50年以上前から発掘が続けられています。湖近くにある野尻湖ナウマンゾウ博物館は、市民とともにすすめられてきた発掘の成果を広く知らせようと34年前に開館し、3月20日にリニューアルオープンしました。

 発掘調査には専門研究者や高校・大学生、子どもからアマチュアなど世代を超えて全国各地から参加します。発掘調査が始まって56年になり、これまで約2万2千人が参加してきました。

 「地質学や古生物学、考古学などの分野に分かれ、何か見つかるといろいろな見解がでます」と野尻湖ナウマンゾウ博物館館長の近藤洋一さん(62)は話します。「骨の化石一つとっても総合的な視点から過去を復元していく過程がおもしろい。参加する小・中学生も生の資料と科学を味わうことができ、研究の組み立て方を体験できるのが、野尻湖発掘のいいところです」

 近藤さんは大学1年の時から発掘調査に関わり大学院を修了すると同時に学芸員に。博物館とともに歴史を積み重ねてきました。

 近藤さんは「大規模なリニューアルは初めて」と話します。改装するにあたり町の行政だけでなく地域の人たちのアイデアを生かし「協働」での運営を検討してきたといいます。

 玄関ではナウマンゾウのモニュメントがお出迎え。1階には誰でも気軽に立ち寄れるフリースペースがあり、自然体験など野尻湖周辺地域の情報を収集できます。1階から2階にかけては発掘の成果を余すところなく展示・紹介しています。

 「博物館は地域の宝を分かりやすく伝える場所であり子どもたちの学びの場にもなります。地域づくり人づくりにもつながります。地域に愛された博物館にしていきたい」と熱く語る近藤さん。「多くの人に野尻湖発掘の面白さを伝えたい。ぜひおいでください」(原千拓)

 ナウマンゾウ およそ40万年前から2万年前まで日本に生息していたゾウ。小型のゾウでオスは肩高2・3メートルから2・8メートル、体重4・5トンから5トン、メスは肩高1・9メートル程度。日本で初めて発見されたナウマンゾウの化石を研究した東京帝国大学教授のエドムント・ナウマン(1854~1927年ドイツの地質学者)博士にちなんで名づけられました。日本と中国の一部で化石が発見されており、その中で野尻湖は最も多くの化石が見つかる所の一つです。


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