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日本共産党

2018年5月2日(水)

12都道府県委員長会議 志位委員長の中間発言

 全党は4月、3中総決定と3月の常任幹部会「訴え」にもとづき、参院比例目標を正面にすえ、安倍政権打倒へ攻めに攻める構えで宣伝、対話・署名、「集い」、党勢拡大の実践を広げてきました。4月の結果は、党員、読者とも前進する党組織が3月より広がったものの、全党的には入党決意が462人にとどまり、「しんぶん赤旗」読者は日刊紙482人減、日曜版1390人減という残念な結果となりました。

 4月29日に12都道府県委員長会議を開催しました。1日付に詳報を掲載した小池晃書記局長の問題提起とまとめに続いて、志位和夫委員長の中間発言を掲載します。この会議が、全党の5月活動の指針となります。党機関と支部は、月初めの会議で小池書記局長の問題提起とまとめ、志位委員長の発言を読みあわせ・討議し、3中総決定の全面実践へ、具体化を強め、出足早い前進をつくりだしましょう。(中央委員会書記局)


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(写真)志位和夫委員長

 二つの点について発言します。

 まず、いまの情勢の中で、日本共産党が果たしている役割に、深い確信をもって打って出るという問題です。日本共産党が果たしている役割と言った場合、それはあらゆる面で言えることですが、二つにしぼって話したいと思います。

市民と野党の共闘を守り発展させるうえで日本共産党が抜群の貢献

 第一は、市民と野党の共闘を守り、発展させるうえで、日本共産党が抜群の貢献をしているということです。

 安倍政権による隠ぺい、改ざん、ねつ造、圧力など日本の政治が異常事態に陥っています。それを野党6党が結束して追及し、追い詰め、国政を動かす一連の成果をあげてきました。市民と野党の共闘が力を発揮してくるうえで、日本共産党が果たしてきた貢献は非常に大きなものがあります。いくつかの角度から強調したいと思います。

総選挙での頑張り―これが今の情勢で生きている

 一つは、昨年の総選挙での頑張りが今の情勢で生きているということです。民進党の希望の党への合流という突然の逆流が生まれたときに、日本共産党はどんな困難なもとでも共闘を守りぬくという確固とした立場に立って奮闘し、共闘を破壊から守り、新たな前進を勝ち取りました。もしもあの頑張りがなかったらどうなったかと考えますと、国会での野党共闘は今のような状況に到底ならなかったと思います。

 自公とその補完勢力が絶対多数を占めてしまうという状況がつくられてしまったとしたら、いくら安倍政権の矛盾が噴出しても、野党の側のたたかいは極めて困難なものとなったでしょう。断固たたかうという戦線を構築するということはできなかったでしょう。そう考えますと、あの時の苦労は「やりがいのある苦労だった」ということが、いえるのではないでしょうか。昨年の総選挙でのわが党の頑張りがもつ意義を、いま一度、みんなの確信にする必要があると思います。

国会共闘を筋の通ったものにするうえで重要な役割

 二つ目は、いま野党6党でとりくんでいる国会共闘を筋の通ったものにするうえで、日本共産党が、重要な役割を果たしているということです。

 たとえば、野党6党で、この間、与党に対して、現在の国会の異常事態を打開するために柳瀬元首相秘書官の証人喚問をはじめ4項目の要求を提起しました。それに対して与党が「ゼロ回答」という状況のもとで、異常事態の打開に与党が責任を果たせと主張し、野党6党が結束して頑張っているわけです。

 こういう一つひとつの国会共闘をすすめるうえでも、日本共産党は、野党の国会対応がどういう立場に立ったものなのか、いかに道理があるものなのかを国民に広く明らかにするうえで重要な役割を果たしてきました。すなわち、いまの状況というのは、まさに前代未聞の異常事態に国会が陥っている。政府の公文書、資料、データが、ねつ造されていたり、改ざんされていたり、隠ぺいされていたりしていては、国会でのまともな審議ができない。審議の土台が崩れている。そうである以上、その土台の回復が最優先の課題ではないか。日本共産党は、このように主張し、野党6党が主張していることが、道理もあれば筋が通ったものでもある、ということを広く明らかにしてきました。こういう点でも、日本共産党が果たしている役割、貢献度は大きなものがあります。

共闘が政策的にも豊かに発展するうえで―「原発ゼロ基本法案」

 三つ目は、野党共闘が政策的にも発展するうえで、日本共産党がブレずに頑張ってきたことが貢献をしているということです。

 たとえば原発問題です。「原発ゼロ基本法案」をどうするかが問題になりました。小泉・細川両元首相を顧問にする「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)が提案した「原発ゼロ基本法案」は、「一切の再稼働を認めない」、「動いている原発は速やかに止める」という、たいへん筋の通ったもので、私たちも全面賛成だと表明し、一つの流れができてきたわけです。

 それに対して立憲民主党が最初に出してきた法案は、非常時に再稼働を認めるというものでした。これでは困ると考えていたのですが、日本共産党がブレずに筋を通す、「原自連」のみなさんとも協力して即時原発ゼロの流れをつくるなかで、立憲民主党も再稼働条項をきっぱりと削除した。そしてわが党も含めて野党4党で「原発ゼロ基本法案」を共同提案するということになりました。

 日本共産党がブレずに政策的な大義と道理を貫くことによって、野党共闘の中身を豊かにしてきたということも、大いに確信にすべきことではないかと思います。

 安倍政権のひどさの告発と一体に、それと立ち向かう市民と野党の共闘がこの間発展してきていること、共闘が力を発揮するうえで日本共産党が抜群の貢献をしているということを、全党の確信にして、広く国民のなかに訴えていただきたいと思います。

外交問題―北朝鮮問題での日本共産党の対応と党綱領の生命力

 第二に、いま一つ、みんなの確信にしてもらいたいのは、日本共産党がこの間とってきた外交問題での対応です。

理性的に提案し行動してきたのは、政党では日本共産党だけだった

 いま朝鮮半島に平和の激動が起こっています。南北首脳会談が大きな成功をおさめ、米朝首脳会談がつぎの大きな焦点となっています。対話による平和的解決の歴史的チャンスが生まれています。

 この問題で安倍政権がとってきた態度というのは、対話否定・圧力一辺倒というものでした。「対話のための対話は意味がない」「北朝鮮が非核化の行動をとらないかぎり対話はすべきでない」と言い続けてきた。ただこうした硬直した態度は、安倍政権だけのものではなかったのです。メディアの圧倒的な流れも、こうした議論に同調する。むしろあおりたててきた。日本社会全体に強い同調圧力がかかる。そういうなかで、日本のなかで理性的にこの問題について考え、提案し、行動する勢力が、政党では日本共産党だけだったというのが、この間の状況だったのです。

日本共産党が求め続けた方向に情勢は劇的に動いた

 日本共産党の一貫した主張は、「破滅をもたらす戦争を絶対に起こしてはならない。経済制裁は必要だがそれだけでは解決できない。対話による平和的解決が唯一の道だ」ということでした。

 わが党は、昨年2月に、トランプ米政権が、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」(「北朝鮮が核放棄の意思と行動をとるまでは交渉を行わない」とする方針)の見直しを決めるもとで、軍事力行使は絶対やってはならない、従来の方針を見直すというなら、「外交交渉によって北朝鮮に非核化を迫るべきだ」という提言をしました。

 さらに8月に、北朝鮮をめぐる情勢が悪化し、軍事衝突が強く懸念されるもとで、「米朝は直接対話によって危機打開をはかるべき」だという声明を発表し、関係各国に働きかけました。

 世界は、今年に入って、日本共産党が求め続けた方向に劇的に動きました。南北、米朝の首脳会談という流れが起きました。そういうもとで、わが党は、4月6日、関係6カ国に、「朝鮮半島の非核化と、北東アジアの平和体制の構築を一体的、段階的に進めてほしい」という要請を行いました。

 その後の情勢の展開は、ご承知の通りです。前途には大きな困難もあるでしょうが、この地域の情勢を大きく前向きに塗り替えるような可能性が生まれています。

 北朝鮮問題について、ただ圧力をかければいいというような風潮、それへの同調圧力に屈しないで、一貫して理性と道理に立った打開策を提起し、行動してきたのが日本共産党です。そして今の情勢の劇的な展開のなかで、わが党の立場が情勢を前向きに打開するうえでの唯一の立場だったし、世界の動きとも合致するものだったことが、証明されつつあると思います。

わが党の対応の根底には新しい党綱領がある

 日本共産党がこうした対応をしてきた根底には、2004年に改定した党綱領があるということは、ぜひ大きな確信にすべきことだと思います。

 新しい党綱領では、帝国主義論を発展させました。綱領では、アメリカの対外政策と行動を分析して、アメリカは帝国主義だという規定を行いました。しかし、いつでもどこでも、また将来にわたっていつまでも、アメリカが帝国主義的政策を実行するというような硬直した機械的な見方ではなく、アメリカを事実に即してありのままにとらえようということを、新しい綱領のもとで確認しました。アメリカをいわば「複眼」でとらえ、軍事的覇権主義の政策と行動は厳しく批判するが、外交交渉によって問題を解決するなどの前向きの動きが起こったときには、それを促進するという対応をしてきました。

 わが党は、トランプ政権に対しても「複眼」でその動向を見てきました。そうするとトランプ政権でも、対北朝鮮政策という点では、一方では軍事を含めた圧力ということを言いながら、対話という選択肢も、つねに見え隠れしてくるわけです。トランプ政権であっても、ある幅をもった対応をしているということを私たちはとらえ、それに注目して、さきほどのべたような働きかけをやってきました。

 そのときに安倍政権はどうかというと、トランプ政権が圧力と対話とある幅をもった対応をしているのに、安倍政権のほうは圧力しかない。対話否定・圧力一辺倒でやってきた。幅というものがまったくない。そして、その方針が破たんしてしまった。これが現状です。安倍首相はトランプ大統領と仲が良いということを自慢していますが、安倍首相よりも日本共産党の方がトランプ政権の動きがよく見えていたということに、なるのではないかと思います。

 そこが綱領の力なのです。綱領で帝国主義論を発展させたことが、いまの情勢のなかで力を発揮しています。

21世紀の戦争と平和の力関係―平和の力がぐっと増している

 さらに党綱領とのかかわりをいえば、こういう平和的解決の方向に事態が動くというのは――まだ現在進行形ですから予断をもって先をいうことはできないという面もありますが――21世紀の世界の戦争と平和の力関係で、平和の力がぐっと増しているということが言えると思います。そしてその根底には、20世紀に起こった世界の構造変化があると思います。世界の構造変化のもとで、「朝鮮半島で絶対に戦争を起こしてはならない」という世論が国際的に起こり、また「キャンドル革命」によって生まれた文在寅(ムン・ジェイン)政権の韓国ではとりわけ鋭い形で起こり、いまの激動が生まれているということも、言えるのではないかと思います。

 市民と野党の共闘と、外交問題と、二つの話をしましたが、安倍政権がいま内政・外交ともに行き詰まり、ボロボロになっている。その批判と告発とともに、日本共産党が抜群の仕事をしているということを大いに語り、この党をいま伸ばしてほしいということを大いに訴えてほしい。こうしたことも含めて、いまの情勢の激動との関係でも、わが党を強く大きくする時期に来ているということを強調したいのであります。

「850万、15%以上」―参議院選挙の比例代表選挙の得票目標の意義

 もう一点、強調しておきたいのは、すでに小池書記局長の問題提起でも強調した点ですが、「850万、15%以上」という、参議院選挙の比例代表選挙の得票目標をやり切ることの意義を、全党のものにすることについてであります。

 なぜ比例代表で「850万、15%以上」か。そのことが、ストンと胸におちるような形で、党機関と支部のものになっているか。ここがとても大事な点であります。

 今日の午前中の討論でも、そこを深めたところで、グッと力が出始めているということが語られました。ぜひ比例代表で「850万、15%以上」のもつ意義を、三つの角度から深めていただきたい。

党綱領実現に道を開く大志とロマンある目標

 第一は、党綱領実現に道を開く目標だということです。

 来年の参議院選挙は、どういう選挙になるでしょうか。3中総決定では、「自公とその補完勢力を少数に追い込む」ことを、参院選の目標として確認しました。

 それでは、どうやって少数に追い込むか。参院の現状は自公と維新で161議席です。定数は242議席で半数は121議席です。したがっておよそ40減らせば、自公と補完勢力は過半数を割る。そのカギは二つです。

 一つは、野党共闘です。来年改選となる2013年の参院選では、全国31(当時)の1人区のうち野党が勝ったのは沖縄だけでした。あとは自民党です。ですから本気の共闘の体制をつくることができれば、大規模な変動が可能になる。

 もう一つが、日本共産党の躍進です。「850万、15%以上」の比例目標をやりきれば、比例で7議席は確実にとれます。そのさいには選挙区でも現有の確保とともにかなりの議席増が見込めます。文字通りの躍進となるでしょう。そして、大事なことは、そういう党躍進の流れを、早い段階から、今年のうちからつくり出す。そのことが市民と野党の共闘を成功させるうえでも、最大の力になることも、強調しておきたい点です。

 「共闘勝利プラス共産躍進」で、自公とその補完勢力を少数に追い込む。そうなれば、政局の主導権を野党が握ることができます。野党が主導して解散・総選挙に追い込み、衆院でも自公とその補完勢力を少数に転落させ、野党連合政権に道を開く。それを本気になってやり抜こうじゃないかというのが3中総の方針なのです。比例代表で「850万、15%以上」をそういう大志とロマンをもった目標として位置づけることが必要です。

 自民党政治は、内政・外交のあらゆる面で行き詰まっている。これ以上、政権をまかせるわけにいかない。野党の側が政権を担うべき時期が来ている。そういう状況をつくる第一歩を踏み出そうというのが、「850万、15%以上」という目標なのです。

 そして、社会発展のあらゆる段階を、統一戦線によって進むというのが、わが党綱領の大命題です。そういう点で、比例代表で「850万、15%以上」という目標を、党綱領実現に道を開く目標と位置づけて、その達成に全党が燃えに燃えて挑戦することを、強く訴えたいと思います。

「比例での躍進なしに選挙区での勝利なし」―試されずみの鉄則

 第二の意義づけとしては、今日、ここに来られている県(12都道府県)の多くは、選挙区でも必勝をめざしてたたかっていると思います。

 選挙区で本気で勝利しようと考えたら、比例での躍進ぬきにありえません。1998年の参院選で15議席に躍進したさいにも、比例で820万票・8議席を獲得したその土台のうえに、選挙区でも7議席を獲得することができました。

 選挙区での必勝と言った場合、2人区もあれば、3人区、4人区、6人区もある。それぞれによって条件が異なります。ただ、どの場合であっても勝利は容易ではない。「比例での躍進なしに選挙区での勝利なし」――これは試されずみの鉄則であり、この鉄則をいついかなるときにも銘記して奮闘する必要があります。

 比例での日本共産党の躍進の波をつくりだし、そのうえに、それぞれの選挙区候補の魅力をのせて押し上げる。これが選挙区での「必勝の方程式」だということを、訴えたいのであります。

統一地方選挙での躍進との関係―二つの点について

 第三の意義づけは、統一地方選挙での躍進との関係です。これについては、とくに二つの点を強調しておきたいと思います。

 一つは、来年は、二つの全国選挙が連続するわけですが、全党の活動の前面にすえるべきは参院選――とくに比例代表選挙だということです。比例で「850万、15%以上」に本気でとりくみ、全国すみずみで日本共産党躍進の大きな流れをつくりだす。それと一体に統一地方選挙躍進の独自の準備をやり切る。そうしてこそ連続躍進の道が開かれます。「まず統一地方選、その後に参院選」といった「段階論」では絶対だめです。そうなったら狭いとりくみに陥り、参院選での躍進はありえないし、統一地方選でも勝利できない。このことを、まず強調しておきたいと思います。

 もう一つは、党機関から支部にいたるまで、得票目標は、統一地方選挙でも参院選でも、参院比例での「850万、15%以上」に一本化し、これに一貫して挑戦することです。統一地方選挙で2人区、3人区で県議などに挑戦する場合などでは、参院比例での「850万、15%以上」が統一地方選勝利にとっても必要不可欠な目標にそのままなるというケースもあるでしょう。「850万、15%以上」が統一地方選勝利の水準を上回るというケースもあるでしょう。どちらの場合も、得票目標は「850万、15%以上」に一本化することが絶対に必要です。後者の場合、統一地方選挙では「票があまってしまう」という声もあるかもしれませんが、票があまることはたいへん結構なことで一向に差し支えない。「850万、15%以上」よりも低い水準の目標で統一地方選挙をたたかうという「二重目標」にしては絶対になりません。それでは参院選の躍進は絶対にありえません。得票目標は、統一地方選挙でも参院選でも、参院比例での「850万、15%以上」に一本化し、これに一貫して挑戦する。この姿勢を揺るがず堅持し、党勢拡大をはじめ勝利のためにやるべきことをやりぬいてこそ連続躍進は可能になる。このことを強調しておきたいと思います。


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