しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月6日(金)

きょうの潮流

 陽気に誘われ、文学散歩で東京の砂町を歩きました。運河としてつくられた真っすぐな小名木(おなぎ)川の付近も桜が満開。この川の名を筆名にした歌人・小名木綱夫(つなお)を静かにしのびました▼綱夫は1911年に東京で生まれました。小学校を卒業して働き、病気の母親を抱えた貧しい暮らしを歌に詠み始めます。〈技術もちて/やうやく獲(え)たる賃銀を/根こそぎ払へど/医療にたらず。〉▼しかし歌がもとで42年、特高警察に検挙されてしまいます。「偽らぬ貧しい一人の息子の感情生活を詠ったとき、私は社会主義者、共産主義者のレッテルを貼られて、監房に呻吟しなければならなかった」と▼過労と投獄で体を壊しますが、終戦の翌年に日本共産党に入党。アカハタ文化部の記者として働き始めます。〈来る日も歩め歩めとハタの記者才を恃(たの)まずわがのしあるく〉〈はたらきしけふの生き甲斐をアカハタの出来栄よき紙面に見てゐる愉(たの)し〉▼ところが、わずか2年後の48年にぜんそくと胸の病が悪化して永眠。享年36歳の早すぎる死でした。〈賃銭のどれいならざる誇りもてはたらきしことをわれは謝すべし〉〈病むわれを支へ下されしは同志的愛情のほとばしりにて戦ひの所産なり〉▼今年は没後70年。『新日本歌人』4月号は表紙に綱夫の歌を掲げています。〈わがあとに来る世代をうたがはず火を継いで来しわれも一人ぞ〉。官邸前で全国で、たたかいの火は今も。この春、赤旗編集局にも新人記者が入りました。先人の火を継ぐ頼もしい力です。


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