しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月22日(木)

9条改憲案に 異論・慎重論

2項維持・自衛隊明記「論理的でない」「いま大事なのは政治への信頼回復」

自民党総務会

 自民党は20日の総務会で、党憲法改正推進本部の細田博之本部長から9条改憲の条文案の取りまとめを中心に状況報告を受け、自由討議しましたが、異論や拙速論議への慎重意見が相次ぎました。

 会合後、村上誠一郎元行革担当相は記者団に、「1、2項をそのままにして3項を書き込んで本当に自衛隊が合憲だと論理的に成り立つのか。パラドックスに陥るのではないかという意見が私も含め出た」と述べました。2項の戦力不保持規定を残したまま自衛隊を書き込めば、「戦力」と自衛隊の関係がより混迷するとの指摘です。

細田氏に苦言も

 村上氏は、2項を残したまま自衛隊を明記する案についての細田氏の説明は「論理的じゃない」と批判。「憲法は法律よりも上にあるのだから、法案審議よりずっとシビアに考えなきゃいけないのに、甘くイージー(安易)に考えている」「御大が前に座って『こうだ』というと、みんな意見が言えない。専門家・学者を呼んで、いろいろ意見を聞くべきだ」と苦言を呈しました。

 他の総務会メンバーの一人も、記者団に「軍隊とは何なのか、戦力ではない必要最小限度の実力とは何なのか。それに誰も答えず、実質論議がない。相当濃密な議論をしておかないと(憲法審査会で)党の案として維持できない。危なっかしくてしょうがない」と現状を批判。「一任取り付けとかとりまとめを急がないでほしいと主張した」としました。

 総務会では、森友文書改ざん問題をめぐって、「いま一番大事なのは政治や行政に対する信頼回復なのに、それをしないまま25日の党大会に突っ込み、(改憲に)突っ走っていいのか」という意見もベテラン議員から相次いだといいます。

 自民党の閣僚経験者の一人も「いま、週末に地元に戻って、憲法9条改正という話ができる状態ではない。与党だけで採決・発議して国民投票に入っても、とても過半数は取れない」と述べます。他の自民党議員は「麻生財務相が辞めるのは当然だが、それで収拾する状況ではない。国民の政治不信が続く」と述べます。

首相は改憲執念

 他方、細田本部長は20日夜、安倍晋三首相と首相公邸で会食。安倍首相は「最後まで頑張ってほしい」と意見集約を促しました。

 この後、細田氏は記者団に党大会での総裁演説について、「いの一番で改憲への思いを述べる。今、考えておられる」と説明しました。

 立憲主義破壊、民主主義破壊への国民の怒りが高まるなか、安倍9条改憲は矛盾を深めながら、なお突破への執念を燃やしています。


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