しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月9日(金)

きょうの潮流

 高知県大川村は人口400人、離島を除く日本で一番小さな自治体です。昨年は一時、村議会維持も危ういと報じられたほどの過疎。実は背景に、50年以上前のダム建設があったことを、トラッシュマスターズの舞台「埋没」(東京の座・高円寺、11日まで)で知りました▼1960年代、巨大な早明浦(さめうら)ダム建設計画が持ち上がります。村の主要な集落が水没するダム計画に、村民はこぞって猛反対します。しかし政府の示した高額の補償金が、次第に人を狂わせていきます▼「国のやることに、こんな小さな村が反対しても無理かもしれん」という声が出始め、村は反対派と交渉派に分裂。ダムは着工され、4千人いた人口は10年で半減。その後も減り続けたのです▼住民の反対を、政府が金で黙らせるやり方に強烈な既視感を覚えます。舞台では沖縄の米軍基地建設の話題も出ます。作・演出の中津留章仁さんも「原発も沖縄もこれとまったく同じ構造です」と語っていました▼お金に代えられないものがあることを、福島第1原発事故で私たちは痛いほど学んだはずです。なのに政府はやり方を変えません。沖縄県名護市では、米軍新基地建設を押し付けるため、自公推薦の市長が誕生するや、在日米軍再編交付金の支給再開に動きました▼大川村では交渉派もダム反対の思いは同じだったと、舞台で古老が語ります。基地をめぐって、世論が二分して見える沖縄も、実は基地反対では同じではないか―古老のセリフからそう考えさせられました。


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