しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月11日(日)

きょうの潮流

 李朝の時代に置かれた朝鮮八道の一つ、江原道(カンウォンド)。半島を縦断する太白(テベク)山脈を中心に高い山々と深い谷間が幾重にも連なります。あの「冬のソナタ」のロケ地にもなった自然豊かな地方です▼韓国の北東部に位置するこの地は北朝鮮にもまたがり、江原道の地名は両国にあります。しかし、そこは軍事境界線によって分断され、美しい山河のなかに民族の苦難の歴史が横たわっています▼北朝鮮の核・ミサイル問題が緊迫するなかで、いま江原道にある平昌(ピョンチャン)で冬季オリンピックが開かれています。分断のない朝鮮半島を描く統一旗をかかげた南北の合同入場行進、両国の選手が一緒に運んだ聖火。開会式は融和と平和の思いが込められていました▼韓国の五輪開催は30年ぶり。思い返せば、最初のソウル五輪のときも、東西のボイコット合戦で揺れたオリンピックが正常に戻った大会でした。分断国家での五輪は世界に強いメッセージを発信してきました▼冬季五輪史上初めて参加国・地域が90をこえ、実施種目も100をこえた最大規模の今大会。アフリカや南国、女性選手の参加が目立つなど、五輪運動の新しい流れが息づいています。紛争から逃れ、難民として育った選手の姿も▼「人類の祭典」は、ときどきの世界の現状や動きと無関係ではいられません。しかし、あくまで五輪の主役は4年に一度の大舞台にすべての力をぶつけあう選手たち。こんどはフェアなたたかいを通して友情やきずなをはぐくむ、一人ひとりのアスリートの出番です。


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