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2017年12月13日(水)

きょうの潮流

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 今年の出版界は驚きに包まれています。児童向けの物語を漫画化したとはいえ、倫理や道徳といった人の生き方を正面から問う本がこれだけ売れるとは▼吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』。漫画版と原作の新装版をあわせ、ついに100万部を超えるミリオンセラーになりました。異例の売れ行きと反響の大きさ。出版社の担当者は、小学生からお年寄りまで幅広い層が手に取ってくれ、贈り物にもしていると▼中学生の少年が級友たちとのさまざまな出来事を通じて、おじの助言を得ながら成長していく。読み継がれてきた歴史的な名著が世に出たのは、日本が中国への全面戦争を始めた1937年でした▼同じ80年前の今頃、日本軍は人類史に残る蛮行を犯しました。南京大虐殺です。本紙日曜版の特集にあるように、兵士たちの陣中日記には女性や子どもまでも手にかけた記録が生々しく。人間であることを否定する、むごたらしい行為の数々は、侵略の狂気を物語っています▼国家統制が強まり、自由は奪われ、言論が弾圧された軍国の時代。治安維持法によってみずからも逮捕された吉野は、国民が理性と平和を取り戻すことを信じ、次の時代を担う人びとに自由で豊かな文化があることを伝えています▼いままた戦争への足音が聞こえています。貧困と格差の広がりは生きづらさにつながり、いら立ちを助長させています。今日を生きる人間として、あるべき姿とは。人生の読本は問いつづけています。君たちは、どう生きるか―。


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