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2017年11月21日(火)

主張

米兵飲酒死亡事故

「撤退しかない」にどう応える

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 那覇市の国道で、飲酒していた在沖縄米海兵隊員の男が運転していた軍用トラックが軽トラックと衝突し、軽トラックを運転していた男性が死亡するという痛ましい事故が起こりました。在日米軍は事故を受け、在沖縄米兵に対し飲酒と基地・住居間の移動を除いた外出を禁止しました。米軍の飲酒禁止措置はこれまで何度も実施されてきましたが、事故は繰り返し発生しており、実効性が極めて乏しいのは明白です。沖縄では既に「事故をなくすには米軍撤退しかない」という憤りの声が上がっています。日米両政府は、沖縄の声を真摯(しんし)に受け止めるべきです。

事故ゼロ宣言直後に

 昨年4月、沖縄県うるま市の女性が元米海兵隊員の軍属に暴行され、殺害された事件の裁判員裁判が今月16日、始まりました。在沖縄米軍トップのニコルソン四軍調整官(第3海兵遠征軍司令官)は同日の記者会見で、裁判の開始に関連し、「われわれが起こす事件・事故の割合はかなり減ってきた。もし、われわれの兵士の一人が飲酒運転をすれば、非常に厳しく処罰される。その兵士は二度と車を運転できなくなるし、数千ドルの罰金を支払うことになる」と述べていました。その上で「(事件・事故の)発生率をゼロにしたい。それが目標だ」と強調していました。

 そのわずか3日後の19日、部下である海兵隊員が飲酒運転による死亡事故を引き起こしたのです。沖縄の地元紙はニコルソン氏の記者会見での発言を紹介し、「在沖米軍の統治機能が破綻しているとしか思えない。もはや(事件・事故の)『ゼロ』を実現する方法は米軍の沖縄からの撤退以外にないのではないか」と訴えています(琉球新報20日付)。

 在日米軍は20日、今回の事故を受け、日本本土の米兵に対して飲酒を禁止し、沖縄の米兵に対しては飲酒に加え、基地と住居との移動を除いて外出を禁止しました。飲酒禁止は「別途通知があるまでの間」とされ、一時的な措置とみられます。

 米軍はこれまで事件・事故のたび「再発防止」策や「綱紀粛正」策を出してきましたが、効果があった試しはほとんどありません。昨年4月のうるま市での元米海兵隊員による女性暴行殺人事件を受け、全ての在沖縄米兵・軍属とその家族に対し、基地外での飲酒禁止などの措置が取られました。その期間のさなかの6月、海軍兵の女が酒気帯び運転で嘉手納町の国道を逆走して2台の軽乗用車と衝突し、男女2人が重軽傷を負う事故も起こっています。

 沖縄県の翁長雄志知事が今回の事故について「毎回同じことの繰り返しで言葉を失う」と怒りをあらわにしたのは当然です。

問われる米軍の存在

 沖縄の地元紙が指摘した「在沖米軍の統治機能の破綻」という問題も重大です。

 米海兵隊は今回の事故の容疑者について、「公務中」ではなく、「公務外」だったと回答しています。しかし、なぜ「公務外」の兵士が公用車である米軍トラックを運転できたのか、飲酒運転の発覚を逃れるため故意に公用車を使ったのではないか、米軍内でそうした使用が常態化していないかなど疑問の声が上がっています。

 沖縄県民の命を脅かす米軍の存在が厳しく問われています。


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