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2017年5月22日(月)

きょうの潮流

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 衆院法務委員会で強行採決された「共謀罪」法案に、戦前の治安維持法の再来だという批判が各界からあがっています▼東京商大の経済学者・大塚金之助は1933年に治安維持法違反容疑で懲役刑を受け、戦争中は特高の監視下に置かれました。戦後、「当時の人々は、頭脳の細胞のうごきまでも監視されていた」と書いています▼こんな表現が生まれたのは、「思想犯保護観察法」下でのつらい体験があったからでしょう。この法律は、治安維持法で不起訴や執行猶予になった人の思想や行動の観察を目的に、二・二六事件が起きた36年につくられました▼東北帝国大学でマルクスの思想をふまえた社会政策の講義をしていた服部英太郎は42年、文部省の圧力で辞任に追い込まれました。「共産主義運動の中心的指導者」という架空の治安維持法違反容疑で検挙されました▼不起訴となりますが、待っていたのは、保護観察法による命令です。20年間住み慣れた仙台から、空襲間近で疎開が始まった東京への強制移住でした。特高が訪れ、通信も交友も制限されました。英太郎の長男が、当時は学生で社会思想の研究者となった、故服部文男氏です▼文男氏は書き残しています。「治安維持法に違反したという疑いがひとたびかけられたならば、不起訴になっても、思想と行動が監視されるという恐るべき悪法です」。当時政府は、内心を罰するこの悪法を“慈母的”と説明しました。その行き着く先が戦争だったことは、歴史の痛切な教訓です。


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