2017年5月17日(水)
権利擁護の観点が欠落
倉林氏 精神保健法改悪案を批判
参院委で可決
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精神障害者の措置入院に対する警察介入の仕組みをつくり監視体制を強化するなど、人権侵害につながるおそれのある精神保健法改悪案が16日、参院厚生労働委員会で自民・公明・維新などの賛成多数で可決しました。日本共産党、民進党、社民党は反対しました。
日本共産党の倉林明子議員は反対討論で、同改定案は精神障害者の権利擁護の観点が欠落していると批判。さらに、審議途中に改定趣旨を変更する前代未聞の経過をたどったものの、中身は犯罪防止が目的となっていることに変わりがないことを指摘し、「法の趣旨をねじ曲げるもの。本来、撤回すべきだ」と求めました。
採決に先立つ質疑で倉林氏は、国連の自由権規約委員会や拷問禁止委員会から日本の精神科医療について、非人道性などが指摘され是正勧告が出されているにもかかわらず、過去10年間で身体拘束が2倍、保護室隔離も3割増しと、共に1万人を超える状況で増加に歯止めがかかっていないと指摘。「勧告の趣旨をしっかりと受け止めるべきだ。精神医療のあり方には政府の姿勢が問われている」と批判しました。塩崎恭久厚生労働大臣は「国連の指摘は真摯(しんし)に受け止めなければいけない」と述べるにとどまりました。
倉林氏はさらに、日本の精神医療の現場では医療の必要のない人が30年の長期にわたり入院している実態があると指摘。「非自発的入院、強制入院は人権侵害。解消をしっかり目指すべきだ。改定案は、精神障害者に対する差別や偏見を助長することにつながりかねない。徹底した審議をせよ」と求めました。