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2017年4月25日(火)

きょうの潮流

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 1943年3月、アウシュビッツの強制収容所に送られた元サッカー選手がいました。ユリウス・ヒルシュ。ドイツ代表に上りつめたその人は、ユダヤ人でした▼当時、命を奪われたのはユダヤ人だけではありません。ナチス政権下で「すべてのトップ選手は戦線で能力を実証すべし」と、多くのスポーツ選手が戦場に駆り出されました。『ナチス第三帝国とサッカー』(現代書館)に詳しい▼Jリーグのガンバ大阪サポーターが、ナチス親衛隊「SS」を連想させる応援旗を試合で掲げ、波紋を広げています。21日、クラブはサポーターを無期限入場禁止としました。彼らは、ナチスのマークと認識しながら「影響を軽く考えていた」。浅はかな行為というしかありません▼独裁者として虐殺の限りを尽くし、世界を戦争の惨禍に巻き込んだヒトラー。この歴史的事実をどう認識するのか。「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目となる」。西ドイツ・ワイツゼッカー大統領(当時)の記念演説の一節がよみがえります▼ドイツサッカー連盟は戦後60年余を経て、ナチスに協力していた負の歴史を初めて認めました。そしてヒルシュの名誉を回復し、その名を冠した賞を創設。人間の尊厳、寛容の精神を育み、差別や排外主義に反対するクラブや選手らを表彰しています▼「若い人は互いに敵対するのではなく、手を取り合って生きていくことを学んでほしい」。同大統領は演説をこう結んでいます。スタジアムでみたいのは、まさにそんな光景です。


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