2017年4月14日(金)
精神保健福祉法改定案の趣旨説明
「相模原事件」を厚労省削除
「立法事実に関わる」倉林氏
参院厚労委参考人質疑
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相模原市で起きた障害者殺傷事件の再発防止策との名目で政府が今国会に提出している精神保健福祉法改定案をめぐり、厚生労働省は13日、法案説明資料の「改正の趣旨」から相模原事件の記述をすべて削除しました。法案の質疑と参考人質疑が行われた同日の参院厚労委員会では、「法案自体の基礎が失われた」(池原毅和弁護士)など批判が相次ぎました。
同法案は、相模原事件の被告に措置入院歴があったことを理由に、再発防止策として措置入院後の監視・指導を強めるもの。精神障害の有無と事件との因果関係が明らかになっていないにもかかわらず、本人の意思を無視した「支援」になりかねず、警察への通知・監視体制が人権侵害にあたるとの批判が当事者団体などから出ています。
参考人質疑で、「全国『精神病』者集団」運営委員の桐原尚之氏は「相模原事件は差別と優生思想の問題であり措置入院の問題でない。法案は障害者の声と真逆の方向を示している」と訴えました。
厚労省作成の法案説明は当初、冒頭に「相模原市の障害者支援施設の事件では、犯罪予告通り実施され、多くの被害者を出す惨事となった。二度と同様の事件が発生しないよう、以下のポイントに留意して法整備を行う」と記述していました。
質疑で日本共産党の倉林明子議員は、「削除されたのは改定案の立法事実にかかわる核心部分であり、修正で済ませられるものではない」と厳しく批判しました。
塩崎恭久厚労相は「法案をより分かりやすくするためのもので、内容に変更を加えるものではない」と開き直りました。