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2017年4月6日(木)

きょうの潮流

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 春の陽気に誘われ、近くの新宿御苑まで花見に行きました。シダレやソメイヨシノはほぼ満開。早咲きの大島桜や陽光もまだ楽しめます。逆に遅い一葉や長州緋桜(ひざくら)は、つぼみがふくらんでいました▼ここは大正初めに宮中の観桜会が移ってきたことで各種の桜が植栽され、今では65種1100本が咲き乱れます。今年の桜は全体的に開花が遅れているといわれ、いっそう長く春の風情を味わえそうです▼〈あしひきの 山桜花 日並べて かく咲きたらば いと恋ひめやも〉(山部赤人『万葉集』)。待ち望んだ満開の桜花に出会えた喜びと、またすぐに散ってしまう名残惜しさを詠んだ歌です。古来、私たちは桜にたいして特別な感情を抱きつづけてきました▼冬から春の訪れ、生命の輝き。いのちの美しさ、再生の象徴として、愛され親しまれてきた桜。そこに散り際の潔さを誇張し、死の影を映してきたのが武士道や戦争でした▼「咲いた花なら散るのは覚悟 みごと散りましょ国のため」。(軍歌「同期の桜」)。桜は軍国の、靖国の花として、散華という言葉で美化され、多くの若者たちを死に追いやりました。こうした日本人の桜観の変遷について、小川和佑著『桜と日本人』は詳しい▼いま花見の場は老若男女、それぞれに結びついた人びとが訪れ、新しい生命の誕生を喜び合っています。別れと出会いの時期も重なり、愛(め)でながらの心情はこもごもでしょう。はかなさとともに、わき上がる命のいとおしさ。“死の花”に戻らないようにと。


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