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2017年3月22日(水)

17年度予算案 医療費値上げ高齢者を標的

受診抑制広げる負担増次々

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 参院で審議中の2017年度予算案に医療費の連続的な患者負担増が盛り込まれています。「負担の公平化」を口実に高齢者を狙い撃ちにし、受診抑制を広げる危険な内容です。(松田大地)


図

3倍化の例も

 75歳以上の後期高齢者医療では、4月から低所得世帯への保険料の軽減措置を縮小し、約279万人に負担増を押し付けます。

 所得に応じて払う「所得割」の保険料は、年金収入年153万円〜211万円の人の現行5割軽減を2割軽減にします。例えば、年金収入が年211万円の人の場合、所得割は、平均で月1310円増の3510円になり、定額部分を加えた保険料の年額は、1万5720円増の6万4800円になります。

 扶養家族だった人の定額部分の現行9割軽減は7割軽減にします。年金収入が年168万円以上の人の保険料は月380円から1130円に3倍化します。

 国は、保険料が「現役世代に比べ、抑えられている」から「公平化」が必要と言いますが、高齢者は病気になりやすく、年金生活の夫妻の家計は月平均5万4711円の赤字(16年)です。しかも4月分から公的年金は0・1%削減されます。“公平化”と言って生活苦に追い打ちをかけているのが実態です。

1400万人が対象

 医療機関を利用した際に支払う医療費負担の上限額も引き上げます。「高額療養費」と呼ばれる制度の改悪で、8月から70歳以上1400万人の上限額が引き上げられます。

 年収370万円未満で住民税を払っている人は、外来時の負担上限が月2千円増の1万4千円になります。入院を含む上限(世帯)は月1万3200円増で、現役世代と同じ5万7600円になります。年収370万円以上の人の外来も5万7600円に上げます。

 これも“負担の公平化”が口実ですが、現役世代の負担上限は15年度に引き上げられたばかりです。

 医療療養病床に入院する65歳以上の居住費は、10月から1日370円に値上げします。1食460円の食費を加えると月5万2500円もかかります。症状が重い患者にも1日200円の負担を導入し、計約21万人が値上げされます(難病患者除く)。

 政府はこの間、在宅医療などとの“負担の公平化”を掲げ、入院時の食費・居住費負担を導入してきました。このサービスは「医学的管理の下に保障する必要がある」として公的保障の必要性を認めながら、全世代の食費を次々値上げしています。負担を高い方に合わせ、苦しめるやり方です。

 そのうえ、高額療養費と後期高齢者医療の保険料、入院居住費は、18年度以降も患者負担を引き上げます。

政治転換こそ

 全国保険医団体連合会(保団連)が年初まで取り組んだ負担増ストップの企画には、「年金生活のため、医療費が上がれば、『死ね』と同じです」など切実な声が約3万人から寄せられました。安倍首相は「われわれは聞いていない」(1月の衆院予算委員会)と窮状を顧みようとしません。この姿勢にノーの声を広げ、社会保障拡充の政治に転換することが求められます。

少しの組み替えで負担増回避できる

 保団連の名嘉圭太事務局次長は「昨年の当会調査で、経済的理由で治療中断した患者がいた医療機関が4割にのぼりました。負担増で受診抑制はさらに悪化します。97兆円の国の予算全体で見れば、わずかな組み替えで負担増はやめることができます。『今こそストップ!患者負担増』署名の運動で世論を広げたい」と話します。


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