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2017年3月22日(水)

きょうの潮流

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 往診先で子どもに注射をしようとした瞬間でした。目の前が真っ白に光り、熱風が顔や腕をなでる。空に浮かんだ巨大な火の玉が膨れ上がったかと思うと、黒い渦に舞い上げられました▼広島陸軍病院の軍医だった肥田(ひだ)舜太郎さんは28歳の時に爆心地から6キロの地点で被爆しました。焼けただれ、幽霊のようにさまよう人の姿。地獄としか言いようのない残虐な光景は、何十年たっても鮮明に思い出すと話していました▼みずから被爆しながら、夜を徹しての救助や治療。未知の症状で死んでいく被爆者にやりきれなさをかみしめながら寄り添いつづけました。やがて後遺症や内部被ばくに苦しむ人びとと深くかかわり、恐ろしさを告発していきます▼原爆の被害を隠し、研究と治療法開発の道を閉ざした米国。その理不尽な圧力に屈して被爆者を放置した日本。肥田さんは被爆の実相を伝える使命があると、世界を駆け巡り、核兵器の廃絶を訴えつづけました▼つねに被爆者と向き合い、核兵器をなくす運動にささげた1世紀におよぶ生涯。思いはいま各国に引き継がれ、今月27日から国連で歴史上初めて核兵器禁止条約の交渉を主題にすえた国際会議が始まります▼「被爆者は人類の宝。長生きしなくては」。いつも柔らかな笑顔で語りかけていた肥田さん。若い世代にも、たった一つの代わりのない自分の命を、とことん大事にしてほしいと。命を守るためにたたかい、生きぬく大切を説いてきた被爆医師。自分の命の主人公になれと最後まで。


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