「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年2月9日(木)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 きょうは、文豪の夏目漱石の生誕から150年になります。書店では記念年を押し出した本の帯が目につきます。昨年12月は、没後100年でした▼漱石が亡くなる直前まで書いていた作品が『明暗』です。読み始めるとほどなく、主人公が購入した「比較的大きな洋書」が出てきます。「経済学の独逸(ドイツ)書」はいつも机の上にあり、しおりが挟んであります▼仕事と関係なく、あまりに専門的で高尚なため、2カ月以上かけても読み切れません。新潮文庫の「注解」は、「マルクス主義関係のドイツ書と思われるもの」と解説しています。主人公はなんのために買ったのか▼小説では、一つは「一種の自信力」をたくわえるため、もう一つは他人の注意を引く「粧飾(しょうしょく)」(飾り)として身につけたいから、とあります。このドイツ書は、『資本論』ではないか―。東北大学名誉教授の故服部文男さんの仮説です。漱石は英国留学中に、英語版『資本論』を大枚を投じて買い求めていました。ただ、読んだ形跡はありません▼『明暗』の洋書は、英語ではなくドイツ語です。服部さんは、当時輸入されたカウツキー編集の『資本論』第1巻(独語、厚さ6センチ)を丸善あたりで漱石が目にしたのではと推測しています▼今年は、『資本論』刊行150周年でもあります。出版と同じ年に漱石は生まれています。社会の不条理や矛盾と格闘した漱石が、もっと長生きしていたら、手元の『資本論』を読んで「自信力」をつけ、作品に反映させたかもしれません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって