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2017年1月12日(木)

軽井沢バス転落事故から1年

運行会社の乗務記録入手

長時間・深夜… 過酷勤務まざまざ

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 大学生ら15人が死亡した長野県軽井沢町でのバス転落事故から15日で1年となります。繰り返されるバス事故の背景には、運転手の低賃金と長時間労働が指摘されています。国土交通省がバス運行会社に行った特別監査の資料からは、こうした実態が浮き彫りとなっています。

 (矢野 昌弘)


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(写真)日帰りバスツアーの乗務記録。出庫から入庫まで14時間を1人で運転していました

 事故を起こしたバス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)は昨年2月、国交省から貸し切りバスの事業許可の取り消し処分(2年間)を受けました。

 事故当日に国交省がイー社に行った特別監査では、運転手が過労状態での乗務、点検や適性診断の未実施、虚偽の報告や記録の不備など、33件の違反が見つかりました。

 本紙が情報公開請求で入手した特別監査の記録では、同社の長時間運転の一端が見えてきました。

 山梨県に行く日帰りバスツアーの乗務記録では、運転士1人が14時間の乗務をこなしていました。

 午前7時すぎに車庫を出発し、神奈川県相模原市の橋本駅で乗客を乗せ、山梨県内を周り、午後8時すぎに橋本駅へ。車庫に戻ってきたのは午後9時20分となっていました。

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(写真)クレーンでつり上げられるバス=2016年1月15日、長野県軽井沢町

 到着後の清掃や通勤時間などを含めると、16時間に及ぶ長時間労働だったとみられます。

 深夜に東京都内を出発し、翌日夜に帰ってくる「夜行日帰り」のスキーツアーでは、2人体制ではありますが、深夜運転の過酷さがにじみます。

 前日の午後4時に新宿を出て、翌朝6時すぎにスキー場に到着。その日の午後4時すぎには、乗客を乗せて出発。午後11時ごろに車庫に戻っていました。

 こうした実態は、国交省が義務づけ拘束時間は1日原則13時間まで、休息期間は1日継続8時間以上などとした「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」にも反するものです。

 また、この基準そのものが「過労死ライン」に該当する長時間労働を容認するものとして、改善を求める声が強まっています。


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