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2017年1月11日(水)

トルコ国会 改憲審議開始

大統領権限強化狙う

野党などが抗議

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 【カイロ=小玉純一】トルコ国会は9日、大統領権限を強める憲法改定案の審議を始めました。与党・公正発展党(AKP)が昨年12月に提出していました。

 最大野党・共和人民党や非政府組織、法律家団体の人たち数百人がアンカラの国会近くに集まり、独裁への動きとして改定案反対の意思を示しました。警察は国会に通じる道路を封鎖し、催涙ガスと放水でデモ隊を蹴散らしました。

 ジャニクリ副首相は9日、国会審議を約20日間で終え、改定案の是非を問う国民投票を4月第1週に実施する考えをテレビで表明しました。

 改憲には国会議員の3分の2(367議席)以上が賛成するか、5分の3(330議席)以上の賛成で可能となる国民投票で過半数の支持を得る必要があります。与党・公正発展党は、野党第3党・民族主義者行動党の協力を得て、国民投票実施に必要な国会定数の5分の3の賛成を確保する意向。最大野党・共和人民党は審議引き延ばしの手だてをとるとしています。

 改憲案は大統領を行政の唯一の長と位置付け、首相職を廃止します。強い行政権限を持つ大統領制の実現はエルドアン大統領の悲願。同大統領は2014年の直接選挙で大統領に当選し、与党と行政の実権を握ってきました。昨年7月のクーデター未遂後の非常事態宣言の下、軍や公務員、メディアの粛清を続けています。

解説

改憲案 「独裁」との批判強く

今回トルコ国会で審議が始まった憲法改定案は、昨年7月の「クーデター未遂」事件以来、反対勢力や野党の弾圧を続けているエルドアン大統領に無制限の権力を与え、「独裁」を作り出すとの強い批判があります。

 昨年12月、同国の憲法委員会は、21項目の改憲案のうち18項目を承認。国会で承認されれば、4月にも国民投票が実施されます。

 内容は、現在、名目的元首となっている大統領に、出身政党の党籍維持や党首との兼任を認め、国会承認抜きで非常事態令発令の権限を与えます。

 議会選挙は、4年ごとから5年ごとになり、大統領選挙と同時に実施されます。大統領は2期10年の任期制限があり、エルドアン氏は2029年まで大統領職にとどまることができます。

 野党の共和人民党(CHP)のある議員は「議会による問責決議も不信任決議も議会による調査もできなくなる」と批判。「オスマン帝国の時代に逆戻り」との見方さえ出ています。昨年5月には、改憲をめぐる意見対立でダウトオール首相(当時)が辞任しており、現在も国論を二分する問題となっています。

(伊藤寿庸)


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