2016年9月29日(木)
きょうの潮流
3児の母である34歳の女性はいいます。“いまでは誰でも保育園に子どもを預けられ、在宅勤務も当たり前。子どもたちは放課後、地域で運営する「寺子屋」で面倒をみてもらえる”▼これは20年後のシミュレーション。厚労省が今年8月に発表した報告書「働き方の未来2035」に出てくる未来予想図です。人工知能を中心とした技術革新はすべての労働者に大きな恩恵を生み出し得ると言いきっています▼時間や場所に縛られない働き方、仕事と家事や育児、介護が両立しやすくなり、副業もできる。そんなバラ色の未来が描かれ、自立した労働者が自律的に働くことを求めています。そこでは正社員や非正規と区分することは意味を持たなくなるとも▼安倍首相が意欲をみせる「働き方改革」。同一労働同一賃金の実現、長時間労働の慣行を断ち切るといいながら国会に出している法案は正反対です。働かせ放題で残業代もゼロ、過労死しても自己責任というひどいもの▼安倍首相は「非正規という言葉をこの国から一掃する」とも豪語しました。先の報告書はそのためにも新しい労働政策が不可欠だといいますが、企業が労働者を安く働かせるために非正規を増やしている現実は眼中にありません▼代表質問で共産党の志位委員長がただしました。「一掃すべきは言葉ではなく、使い捨てという働かせ方。非正規から正社員への流れをつくる雇用のルールの強化をはかるべきだ」。労働者の命や健康、権利を守る本物の改革を求める、と。