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2016年7月23日(土)

主張

国が沖縄県を提訴

「真摯な協議」すらしないのか

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 安倍晋三政権が、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設問題で、翁長雄志県知事が埋め立て承認取り消し撤回の指示に従わないのは違法だとして、新たな訴訟を福岡高裁那覇支部に起こしました(22日)。「新基地ノー」の沖縄の民意を踏みにじる安倍政権の許し難い強権姿勢の現れです。それは、同じ日に、同県東村高江で米軍ヘリパッド(着陸帯)の工事再開を、反対住民らを強制排除して強行したことにも示されました。今回の提訴は、新基地建設をめぐる「代執行」訴訟の「和解」や「国地方係争処理委員会」の結論にも反し、一片の道理もありません。

「和解」の内容にも反する

 辺野古の新基地建設問題では、安倍政権が翁長知事の辺野古沖埋め立て承認取り消しを知事に代わって撤回するため起こした「代執行」訴訟で、国と県との「和解」が3月に成立し、埋め立て工事は中止しています。訴訟を担当した福岡高裁那覇支部の「和解勧告文」は、「沖縄対日本政府という対立の構図」は地方自治法の「精神にも反する状況」だと断定し、両者が「円満解決に向けた協議を行う」ことが「和解条項」に盛り込まれました。

 一方で、「和解条項」には、▽国が県に対し埋め立て承認取り消しを撤回するよう「是正」指示を出す▽県は「是正」指示に不服があれば国の第三者機関である「国地方係争処理委員会」(係争委)へ審査を申し出る▽係争委が「是正」指示を違法ではないと判断するか、係争委が違法だと判断したのに国が従わない場合は、県が「是正」指示の取り消し訴訟を起こす―との内容も盛り込まれました。

 これに対し、係争委は6月に出した結論で、国の「是正」指示の適否を判断しませんでした。新基地建設問題をめぐり「国と沖縄県との間で議論を深めるための共通の基盤づくりが不十分」であり、「(両者の)紛争は今後も継続する可能性が高い」として、「是正」指示の適否を判断しても「それが国と地方のあるべき関係を両者間に構築することに資するとは考えられない」というのが理由です。その上で、係争委は国と県が「真(しん)摯(し)に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をすることが、問題解決に向けての最善の道である」と結論付けました。

 「代執行」訴訟の「和解」内容と係争委の結論に共通するのは、国と県との「対立」や「紛争」が地方自治法の精神に反するという認識であり、両者に「円満解決に向けた協議」や「真摯な協議」を求めていることです。このため、県が提訴を見送り、国との協議を強く求めているのは当然です。

 「和解条項」には今回のように国が県を提訴するという想定は含まれていません。国の新たな提訴は、自ら認めた「和解」内容や、係争委の結論に背くものです。

追い込まれているのは国

 今回、安倍政権が訴訟に踏み切ったのは、新基地建設が手詰まりに陥り、追い込まれているためです。翁長知事には、▽埋め立て承認の「撤回」▽新基地の設計変更承認の拒否―など強力な権限があり、国にとって今後も工事再開は容易ではありません。沖縄をはじめ全国で「辺野古新基地ノー」「高江ヘリパッド建設反対」の世論と運動をさらに広げ、安倍政権を追い詰めていくことが必要です。


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