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2016年7月5日(火)

きょうの潮流

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 演劇は主人公のなかにわれわれ自身をみいだすためにみる、映画は主人公のなかにわれわれ自身を失うためにみる―。かつて加藤周一さんがそう書いていました▼現実を忘れさせてくれる映画に、根強い人気があるのは今も昔もかわりません。たとえば、今年上半期の興行収入1位は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」でした▼他方で、己を振り返らせるような静かな演劇も時には見たいもの。劇作家・平田オリザさんの新作「ニッポン・サポート・センター」(東京・吉祥寺シアターで11日まで)は、まさに現代の私たちの姿を描き出します▼舞台は地域の駆け込み寺のようなNPO法人の相談所。就職の世話もあり、妻子に家出された夫も顔を出す。相談者の悩みに誠実に対応しつつ、深刻になりすぎない、明るい人びとの姿に、いつしか人生へのいとおしさが湧いてきます▼舞台初日のトーク企画。オリザさんは、イメージしたのは映画「男はつらいよ」だと。「このNPOは、あの世界がもう成り立たない社会の“とらや”です。近所のおじさんたちは、若手の片思いを応援すると言いながら役にも立たないおしゃべりをしているだけ」▼劇の終盤、野坂昭如さんの持ち歌だった「やまと寿歌(ほぎうた)」が響きます。日本の豊かな実りと、四季の美しさ、人情をたたえる歌。でも最後は「原発、軍隊なんでもあるさ」「ほんにこの国よい国じゃ」と。原曲は2000年の発表。皮肉のなかに私たちが見つめるべき現実を過たず歌詞にこめています。


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