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2016年6月27日(月)

きょうの潮流

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 とうとう200年続いた老舗の材木屋の看板を下ろすことになりました。NHKの朝のドラマ「とと姉ちゃん」で、ヒロインの祖母の女将(おかみ)(大地真央)は、廃業を決めました▼舞台となったのは、材木商でにぎわった東京・深川の木場(きば)。陸軍から「支那(しな)との戦争が長引き、木材が不足し、統制価格の半額で供出せよ」と命令されてから苦境続きでした。太平洋戦争が始まると、個人営業も停止に▼『江東の昭和史』によれば、1941年に木材統制法が施行され、翌年には材木屋は廃業、問屋・仲買組合も解散しました。ドラマの女将は、廃業か統制下に入るか迫られ、「納得できない仕事をするのは耐えられない」と軍への協力を拒みました▼木材業は、戦争が長期化するまでは景気がよかったようです。好調な事業で3階建てのビルを建て、社屋にした名古屋の材木商もいます。この店主は海運業に手を広げ、汽船会社を起こしました▼息子で、当時小学2年だった歴史家の江口圭一さんは40年3月、大阪の造船所で進水式に臨みました。全長68メートルの貨物船の船首の前で父と並び、命名書を読み上げました。翌年には姉妹船も建造しましたが、太平洋戦争ですべて軍に徴用され、海の藻(も)くずとなりました▼戦後、材木屋を継がずに十五年戦争史など研究の道に進んだ江口さん。亡くなる直前の著書で、愚劣かつ無謀な戦争を遂行するために、「自国の一小企業を取り潰(つぶ)すことなど意に介さなかった日本国家の粗暴」を、怒りをこめて告発しています。


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