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2016年4月30日(土)

主張

衆院議員定数削減

民主主義破壊の暴走許せない

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 衆院の議員定数を、比例代表で4、小選挙区で6減らす自民・公明両党提出の削減案が、おおさか維新の会も賛成して、衆院で可決されました。国際的にみても少ない日本の国会議員定数の削減は、国民の声をますます届きにくくし、政府の活動に監視の目が行き届きにくくするものです。衆院の選挙制度について審議した衆院議長の諮問機関でさえ、議員定数削減の根拠はないといわなければならなかったのに、国民はもちろん議会を構成する会派での話し合いさえ尽くさず、多数で削減を決めてしまうというのは異常です。まさに民主主義破壊の暴走です。

小選挙区制の存続は弊害

 日本国憲法は、国民は「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と明記しています。「国権の最高機関」で「唯一の立法機関」である国会の議員を選ぶ選挙制度は民主主義の土台であり、数を頼んで決めていいものではありません。

 実際、衆院では5年近く前から全会派が参加する各党協議会が重ねられ、約20年前に導入された現在の小選挙区比例代表並立制の問題点を含め、協議されてきました。ところが自民党など一部の党が協議を打ち切り「第三者機関」の選挙制度調査会に丸投げすることを決定、調査会が今年1月に「答申」を出すと行司役の衆院議長が各党に法案提出を促し、自民・公明と民進党が提出した二つの法案を3日間の委員会審議だけで採決に持ち込んだのです。やり方も民主主義とは無縁です。

 調査会の検討も、その答申にもとづく法案も、現在の選挙制度が前提です。それ以前の各党協議会での検討とは正反対です。定数配分に新しい方式を盛り込んだのも、現行制度を続けるためです。現行の選挙制度は大政党に圧倒的に有利で、小選挙区では大半の投票が議席に結び付かない「死票」になるなど、弊害が明らかです。現在の自民党の衆院での議席も、比例代表では有権者比でわずか17%の得票なのに、300議席近くを占めています。民意が大きくゆがめられているのは明白です。

 しかも、調査会の「答申」でさえ議員定数の削減には「積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」としていたのに、自民・公明や民進党の法案では、議員定数を削減するものになりました。日本の議員定数が多すぎるどころか少なすぎ、議員1人当たりの人口ではイギリスやイタリアと約3倍の開きがあります。少ない定数をさらに減らせば国民の意思を締め出すことにしかなりません。消費税の増税にかこつけて議員が「身を切る」というのもすり替えで、本当に身を切るなら、税金で賄う政党助成金などをまず廃止すべきです。

民意と議席ゆがみ是正を

 自民党などは最高裁が繰り返し「1票の格差」を批判していることを議員定数見直しの口実にあげますが、格差是正と定数削減は無関係です。格差是正には人口変動でしょっちゅう選挙区の変更が必要になる小選挙区制は最悪で、解消するなら得票が議席に反映する比例代表にすればいいだけです。

 国民がどんなに反対しても戦争法や消費税増税が強行されているように、今日の民意と政治のかい離は見過ごせないものがあります。ゆがみを正すためにも、民主的な選挙制度の実現が必要です。


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