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2015年10月8日(木)

きょうの潮流

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 ときにスポーツは社会の現実を映し出します。サッカーのワールドカップ(W杯)アジア2次予選が行われる8日に日本と対戦するシリア。祖国は混迷に包まれています。国外には400万人を超える人々が難民として生きる場所を求め、受け入れをめぐり世界中が心を痛めています▼行き場を失う人々を生む根源にあるのは内戦です。その一端を切り取るドキュメンタリー映画を見ました。「それでも僕は帰る」▼主人公はサッカーの元シリア・ユース代表のゴールキーパー、バセット(19)。アジアの同年代で2番目の実力と評された選手でした。内戦開始の2011年当時、彼はホムスという町でいつしか民主化運動のリーダーとなり、平和的に運動を進めます。しかし、政府軍の武力攻撃で銃を持ってたたかうことに…▼容赦ない軍の爆撃に街は壊滅状態となります。銃弾が飛び交い、目の前で死んでいく友の姿にふさぎこみます。胸が締め付けられる―。そんな形容が空々しく感じられる悲惨な戦争の実像。それでも彼は故郷を守るためたたかいます▼足を撃たれたバセットは「(サッカーに)戻ることはない」。ポツリといいます。戦争が若者の夢や人生を狂わせ、奪う。そんな姿をカメラは追います▼内戦がなければ、今夜のチームにバセットの姿があったかもしれません。代表選手の中には、いまだ国内のクラブに籍を置く選手もいます。語りきれないやるせなさを抱えピッチに向かう。その胸の内に思いを寄せつつキックオフを待ちたい。


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