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2015年9月10日(木)

きょうの潮流

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 植村直己が消息を絶つ前、4200メートルの雪洞に残した日記があります。その最後の1行に記されていたのが、「何が何でもマッキンレー、登るぞ」▼31年前、世界で初めて五大陸の最高峰を極めた冒険家の命をのみ込んだ北米最高峰マッキンリー。米アラスカ州にあるこの山は最近もバラエティー番組でお笑いタレントが登頂し、話題になりました▼日本でも広く知られた山の名の由来は米25代大統領のウィリアム・マッキンリー。1896年、この付近を探検していた採鉱者が当時、大統領候補だった彼の名にちなんで名付けました。それから120年ほどたった今年、北米最高峰の名は「デナリ」に変更されました▼デナリとは、アラスカの先住民が長年呼んできた名称で「偉大なもの」という意味があります。地元は以前から改称を求めてきましたが、米政府は拒否。今回、温暖化対策などで州や先住民との連携を進めたい連邦政府の思惑が絡んで実現しました▼1913年にこの山を初登頂した米宣教師は著書の序文で古来の名称の回復を嘆願しています。「デナリという名称でこの山が知られている地域および種族の分布は圧倒的であり、どの現地名を採用すべきかということは疑問をはさむ余地はない」▼世界の極地に挑んだ植村は、そこに生きる人びとから学び、彼らをつねに敬愛しました。いかなる差別意識も持たないで。たかが山の名というなかれ。そこには、他人の土地を我が物としてきた人類の負の歴史が刻まれているのです。


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