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2015年8月27日(木)

きょうの潮流

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 太平洋戦争末期の1945年5月5日、米軍のB29爆撃機が大分と熊本の県境に墜落しました。西日本の航空拠点、大刀洗飛行場を爆撃した帰途、日本の戦闘機の体当たりにあったのです▼搭乗していた米兵は落下傘で脱出。生き残った8人が福岡の西部軍に勾留されました。すでに敗色濃厚となっていた大本営は暗号で「機長だけを東京に送り、あとのものは適当に処置せよ」。狂気の始まりでした▼5月17日、九州大の解剖実習室に2人の捕虜が運ばれます。入り口に護衛兵、室内には十数人の外科関係者、西部軍の軍医や高級将校が立ち並びました。肋骨(ろっこつ)を切られ、肺を摘出され、血を抜かれて息絶える米兵。「実験手術」は日をおき、4回に分けて実施されました▼肝臓や脳を切除されたり、不足する血液の代用に開発中だった海水と体の血を入れ替えられたり…。標本採取された遺体も▼敗戦後、西部軍は隠蔽(いんぺい)工作に走りますが、軍事裁判で軍や九大関係者ら23人が絞首刑を含む有罪に。忌まわしい事件から70年後の今夏。当時、医学生として立ち会った最後の目撃者、東野(とうの)利夫さんが、みずから集めた資料や事件をパネルにして展示しました。いま、平和への道が逆方向に向かっているのではないかと思って▼当初、東野さんは九大に資料の提供を申し出ましたが、大学側は展示を拒否。自分の病院で追悼と鎮魂の展示会を催しました。「戦争は悲惨と愚劣さしか生み出さない」。歴史の教訓を、これからの世代に伝えたいと願いながら。


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