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2015年8月21日(金)

きょうの潮流

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 亡くなる2カ月前に撮った結婚記念の写真が残っています。白いタキシードと、純白のドレスに身を包んだ湯浅康弘さんと、みなみさん。左利きの2人は、右手に野球のグラブをはめて幸せそうにほほえんでいます▼1年前の8月20日。新婚夫婦が暮らしていた広島市安佐南区のアパートは土石流に襲われ、まるごとのみ込まれました。おなかに妊娠7カ月の男の子を宿していたみなみさんが初めて母親学級に行った、その夜だったといいます▼今年6月。広島市の災害廃棄物の中から奇跡的に二つのグラブが見つかりました。康弘さんは元高校球児。遺族が捜し続けてきた2人の宝物はゆがんで固くなっていました。あのときの遺体と同じように、痛々しい姿で▼75人の命が犠牲になった集中豪雨による広島の土砂災害から1年を迎えました。無残に削られた山肌、谷を埋める巨石、荒涼とした更地。一人ひとりの面影を胸に悲しみにくれる被災地には、いまも生々しい傷痕が刻まれています▼広島市によると、元の家を離れて暮らす人は830世帯、1800人近くにも。被災者の生活支援とともに、防災への手だても急務です。天変地異が相次ぐいま、危険を放置せず、災害に強い街、国づくりが行政に求められています▼追悼の地には、きれいに修復されたグラブと一緒に小さな子ども用のグラブも供えられていました。「天国で3人でキャッチボールができれば」。遺族の無念さ、被災者の苦しみを受けとめられる社会や政治を実現したい。


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