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2015年8月12日(水)

きょうの潮流

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 「この地は 上野村大字楢原字本谷と呼ばれ 険阻な山に囲まれた交通不便の別天地なるも 四季の移ろい美しい山紫水明の秘境なり」。「御巣鷹の尾根」に至る登山道の碑が現場の山深さを伝えています▼群馬県上野村御巣鷹山。1985年8月12日、長野との県境にあるこの山に乗客乗員524人を乗せた羽田発大阪伊丹行きの日航機が墜落しました。助かったのはわずか4人。一瞬で520人の命を奪った日本の航空史上最悪の事故でした▼あれから30年。癒えぬ悲しみを抱きしめながら、たくさんの遺族や関係者が険しい山道を踏みしめてきました。急な斜面に刻まれた数々の墓標、黒く焼け焦げ、無残に削られたままの木々。そこはいまも時が止まったような静寂な祈りに包まれています▼“お父さん30年目にしてやっと来れました。お父さんの分まで精一杯生きます。これからも家族のこと見守っていて下さい”。墜落現場には子どもの頃に父を失った息子の言葉が添えられていました▼一人ひとり違う悲しみの色。遺族が手を取り合って編んできた文集『茜雲(あかねぐも)』には、30年たってもあふれる愛情と、事故をくり返してはならないという思いがつづられています▼「どんなに技術が進んでも、安全の最後の守り手は人間の意識です」。速さや効率、企業の利益が優先され、安全が後回しにされた末の事故や人災は後を絶ちません。悲惨なだけの出来事にしてはならない―。被害者の叫びは教訓を生かせない行政や社会に向けられています。


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